一番、爽やかなモヒート

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俺の両親は、オヤジの仕事でアメリカにいる。 この賃貸マンションには、俺と社会人一年目の姉貴が住んでいる。 都心からは少し離れているけど、そのぶん広さがあって俺には住み心地がいい。 1時間後、姉貴は出かけた。 俺も着替えを終えて、玄関に向いながら、 チラッとテーブルの上にあるメガネを見た。 「まだ……早いよな」 そう呟やくと、残った水っぽいモヒートを、一気に喉に流し込み、俺は外に出ていった。          ☘️🌿☘️ 梅雨の晴れ間の気持ちがいい日だ。 俺は待ち合わせの公園に向かって歩いている。 離れたベンチに見慣れた後姿が見えた。 「相変わらず早く来てるな」 俺は苦笑した。 「おーい、瑠璃香」 ベンチの後姿がビクッとなるのが分かる。 彼女は、ゆっくりゆっくり身体を捻り、後ろを向いた。 俺が大きく手を振るのを見て、彼女は笑顔になった。 ベンチに着くと俺はスルリと瑠璃香の横へ座った。 「今日も早くから来てだんだろ? いつも待たせて悪いな」
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