11章〜大事な一枚目〜

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11章〜大事な一枚目〜

9月某日 私はガラケーからとうとう iPhone6デビューを果たした その当時はiPhone6が出たてだった 画質も当時最強を誇っていた 朝登校するとクラスの女の子たちから 次々に羨ましいとの合唱が聴こえた カメラの性能が良かったので、 私は 「私まだ写真撮ってないから皆と撮りたいかな」 と伝えた。しかしクラスの女の子たちから 「最初の1枚の相手に私たちはふさわしくない」 「初めの1枚は大切にね、記念の1枚を」 その言葉を聞いた私は 何を撮ろうか悩んでいた せっかくだからいい風景か クラスのみんなで写真を撮るか そんなことが頭の中で踊る お昼休み、幼なじみが私の席の周りに集まった 「いーなー、iPhone6」 「みせてみせて、触っていい?」 「みんなで見ようや〜」 そんなこんなで金色のタブレットを 4人は囲いながらあれこれと触れていく 「ホームボタンいいわ」 幼なじみ3人はAndroidユーザーなので iPhoneを触ること自体が初めてだった 「カメラの画質良すぎやろ」 その言葉を聞いたクラスの女の子たちは 息を飲んでこちらをみている 「写真撮って撮って」 「いいよー!はい、チーズ」 撮り終わった後、クラスの女の子たちは 一斉に駆け寄り、幼なじみ達に詰め寄った 「まだあの子何も撮ってないのに、 何勝手に写ってんの??」 真剣で真顔で問い詰めていた 「まあまあ、いいんじゃない」 と私が間に入る 「里歩がいいならいいんだけど」 「腑に落ちないなぁ」 口々に女の子たちは呟いていた その日の掃除の時間、 私の初めての1枚の写真になったにも関わらず 満足してない幼なじみが現れた 「もうちょっと写真撮ってよ」 「私掃除中なんだけど」 「大丈夫、ほとんど終わってるから」 「わかった、いいよ」 文哉は元気にポーズを決める 基本的には流行りの芸人のモノマネ 私はツボにハマりながらも シャッターを切った 「うわー、すご、ブレないじゃん」 感心しながら、何枚も撮った 「これただの幼なじみコレクションじゃん」 「めっちゃいいでしょ」 「いや、要らんでしょ」 そんな中、あかなが声をかけた 「りほ、明日の時間割の写真撮って欲しい!」 「おっけー!」 と私は元気よく答える 時間割の書いてある黒板に 焦点を当て、シャッターを切る しかしそこには黒い影 「いや、時間割撮るから邪魔しないどいて」 「やっぱ俺でしょ」 「意味わかんないからそれ」 そんな幼なじみのくだらないやりとりをみて あかなは笑う 「今日だけであんたの写真何枚目よ」 「数えますわ」 写真ホルダーがほとんど 黒い影で覆われていた 1枚、2枚....7枚 「7枚あったわ」 7分の9が文哉の写真でいっぱいだった 「確かにこれは写りすぎじゃない???」 「だから、これは幼なじみコレクション」 幼なじみコレクション増やして どうするのだろう
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