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13章〜絶対君を守る〜
12月半ば
いよいよ修学旅行
田んぼ高校では
英語科はグアム
普通科は沖縄
と決まっていた
2年7組は普通科理系クラスなので
沖縄に2泊3日で行く
しかし、
吹奏楽部は
マーチングバトントワリングの
全国大会出場が決まり、
修学旅行の最終日が全国大会前日と被って
しまうため、修学旅行が打ち切りになる
そのため沖縄で2泊したあと
3日目には全国大会会場である関東に
現地入りをし、翌日の大会に備える形をとる
つまり、私のスケジュールは
沖縄2日間、関東3日間という
5泊6日の長旅になる
仙台空港に集合し、荷物チェックが済み
私はクラスの女の子数名とお土産売り場で
飲み物を買っていた
女の子達の会話で、飛行機について
話になった
「飛行機乗ったことある?」
「結構乗っちゃったんだよね〜、里歩は?」
「私は2回目!」
「でも初フライトで着陸のとき
滑走路短くてかなり揺れたの。
着陸もスムーズいかなくて本当に怖くて」
「なるほどね〜」
私たちのいた前の列は幼なじみたちが
他のクラスの男の子何人かと待っていた
それを見つけた私の周りの女の子たちは
ニヤニヤしながら幼なじみ問う
「もし、飛行機が揺れて
里歩だけ落ちたらどうする?」
いや、なんで私は死にかけ前提なの?
ずっと怖いから勘弁してくれえ
内心思いながら話を流した
「そんなの助けるに決まってるじゃん」
「な、純も連もそう思うだろ?」
「うん、それはそう」
幼なじみ3人はさっきまで
クラスの男の子たちとふざけていたとは
思えないほど、真面目な顔をして答える
周りの男の子たちは
うえーい
といいながら盛り上がる
しかしその空気に流されることなく
淡々と幼なじみたちは答えた
「助ける以外にないよな」
私の周りの女の子たちは真顔になった
負けず嫌いが出たのか更に質問を重ねた
「里歩が飛行機から落ちて海に溺れても行く?」
「待って、私4種目泳げるから溺れないけど」
と食いつくように私は答えた
しかし女の子たちは
「里歩には聞いてないから、
そこの3人に聞いてるの」
と遮る
いずいから勘弁してくれ
(仙台弁でむずがゆい)
内心思いながら、
その場をただ見つめるのだった
幼なじみたちは調子を変えずに答える
「海ぐらい飛び込んで絶対助けるし」
「絶対に死なせないから」
「なんでそんな答え1個しかないような
質問するの?」
そう口々に返していた
その回答を聞いた女の子たちは
こっそり私に言った
「今日のフライトは大丈夫だよ」
突然レジのお姉さんから声が聞こえた
「お客様こちらまでお願いします!」
その声でクラスの男の子たちは
慌てて会計に向かい、会話は終わった
私の周りの女の子たちは
いつもと同じ表情に戻っていた
「里歩、めちゃめちゃ守られてるじゃーん」
「え?そう?」
「いやいや、さっきの言葉刺さらなかったわけ」
そう言われながら列で待つ
私は単純に今日は死なないことが分かって
安心をしたので、テンションが上がった
その日の空はとても明るく
スカイブルーが映える日だった
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