15章〜なんでその席に座ってるの〜

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15章〜なんでその席に座ってるの〜

年末 マーチングバンドでは統一感を出すために 結べる髪の長さか短く切るかの2択を 迫られる 全国大会終わったあとにもう髪結ぶのが 嫌で、1回ショートヘアにチャレンジ したことがあった やってみた段階ではちょっと 鳴子のこけし感が否めなかったが そんなことを忘れて1月の 学校登校日を迎える いつも通り朝ドラを見て お母さんに 「いつまで見てるのよ、早く学校行きなさい」 この声に 「はいはーい」 と答え、慌てて家を出る いつも通り4.5kmを 自転車で全力走行 その日は誰にも会わずに教室まで着く 教室に着いた時に明らかに みんなの表情がおかしい 毎日聞いている 「おはよー」 「おはよー、里歩」 そんな声も何も聞こえなかった 幼なじみたちも不思議な顔で 1番後ろの真ん中の席を見つめただけだった 違和感を感じながらも教室に 入り、朝の会がスタートした 担任の先生が出席確認している時 「大沼里歩居なくないか」 ちょっと待って、今日なんか 遅刻もしないでちゃんと居るわ と思って 勢いよく立ち上がった声を上げた 「大沼里歩、います!!!!」 そんなん嘘だろと言わんばかりに 1番後ろの真ん中の席に振り返った 「え、本当に?」 と先生が答える 「全国大会終わって髪切りたくなって 短くしただけなんで」 とそう答えた 「声は本人だもんな」 と呟き、出席につけられる 朝の会終わった休み時間 みんな謝ってくれた 「ごめん、印象違いすぎて自信なかった〜」 「てかこけし感あるなぁ、かわいいよ」 「どちらかというと座敷童子じゃない?」 みんな口々に言うのだった 「伝統工芸品と一緒なのは嬉しいけど こけし感あるから2度目は無いかなぁ〜」 「座敷童子なら幸せ運ばんと〜」 なんて言いながらいつもの日常に戻った 幼なじみなんかは 「なんで里歩の席に知らない人が 座っているんだろう」 って思っていた と言っていた ショートヘアは辞めようと心に誓った
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