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「ごちそうさまでした」
食事を終え、お茶を飲み一息つく。
さて、食器を片付けようと腰を上げようとした時だった。頭の上に何かが落ちてきて重くなる。
「クスリ、ノンダカ。クスリ、ノンダカ」
「あぁ、忘れていたよ。ありがとね、ぴーすけ」
頭にのったぴーすけを撫で、食器棚から薬袋を取り出した。薬を取り出し、お茶で流し込む。その姿を肩に移動したぴーすけが首を長くして覗き込んでくる。
「アイカワラズ、ボケテンナ。シッカリシロ」
私が飲むのを見届けると、食卓に降り立ちながらそんな悪態をつく。
「あんたは、お父さんそっくりになってくねぇ」
亡くなった夫と同じことを言うぴーすけ。あの頃は腹が立った言葉が今は愛おしい。私はぴーすけの真っ赤なほっぺを撫でた。
「アンナ、デキソコナイ。イッショニスルナ」
「まぁ!」
怒った口調のそれに私は思わず噴き出した。
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