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そう決断してからは早かった。
警察学校へ進学し、厳しい訓練にも耐え、私は警察官になった。
初めの数年は小さな町の駐在所で、いわゆる交番のおまわりさんとして勤務しなければならなかったが、それを卒業してからは、まさに思い描いた日々だった。
現場に出向けば、どんな犯人も必ず逮捕する、八面六臂の大活躍。
凶悪犯にも怯まず臆さず立ち向かっていく、勇猛果敢な若き女性刑事。
どれだけ危険な犯人だって、ちっとも怖くなかった。
相手が刃物を突きつけてこようが、銃を持っていようが、私には関係ないのだ。
逃走中の殺人犯を追い詰めた時は、私目掛けて突進してきた男のナイフが胸に突き刺さる直前で華麗に避け、勢いそのままにずっこけた犯人を見事に確保。
銀行強盗が発生した時は、一般市民の代わりに人質になり、飛んできた拳銃の弾が当たる前に犯人の背後に回り込み、手錠をかけて取り押さえた。
この危機回避能力のおかげで、私は絶対に死なない。
私にとって、きっと刑事は天職だ。命の危険を伴うピンチが、時間停止で相手の隙を突くチャンスになる。
それもこれも、あの日、あの何の変哲もない木曜日の帰り道、特殊能力が開花したおかげだ。
もしも、あの時、あの道を通っていなかったら。
コンクリートの塊が落ちてこなかったら。
私は自分が秘めている能力に気が付かないまま、平々凡々でありきたりな人生を送って、何の事件も起こらないままだったと思う。
あの日、あの時から私の人生は、事件が起きないルートじゃなく、事件を解決するルートになったのだ。
私はこれからも、多くの事件に出会い、そして解決していくに違いない。
私だけが持っている、時間が止まる能力を最大限に発揮してーーーーー
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