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【 悪菜ちゃんは、赤ちゃん? 】
「はぁ~、若菜。お前なビックリさせんなよ……」
「えへへ。ごめんね、お兄ちゃん」
私はかわいらしくペロッと軽く舌を出す。
お兄ちゃんはホッとした表情と呆れた表情の真ん中くらいの顔で、大きく「はぁ~」とため息をついた。
「親父と母さんには、ここに来ること言ってあるのか?」
「うん、置き手紙してきた……」
「またか。今回はすぐに実家へ帰れよ」
お兄ちゃんは呆れた様子。
「夏休み中、1か月ここにいちゃダメ……?」
「ダメだ。すぐ帰れ」
「じゃあ、2週間でいいから」
「ダメだ」
「じゃあ、1週間」
「ダメ」
「じゃあ、3日」
「ダメ!」
「くすん、くすん……」
「泣きマネもダメ! 今日の新幹線で帰れ」
泣きマネは、お兄ちゃんには通用しなかった。ならば、次の手で。
「せっかく、新しい水着持って来たのに……」
「関係ない」
「せっかく、一緒にナイトプール行こうと思ったのに……」
「はぁ? ナイトプール?」
(おっ、お兄ちゃんも『ナイトプール』のワードに引っかかったぞ。もう一押しだ)
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