筋肉泥棒

グリコ先生はまず、俺の仕事や趣味について事細かく質問した。　

俺は仕事の話、登山の話、カメラやドローン撮影の話、音楽活動の話、ネット小説サイトの話、今まで体験してきたフィットネスジムの話、自分の筋トレやヨガなど体作りに対する考え方や経験などについて、サラッと話した。

彼は、一つ一つの俺の答えに興味深々の眼差しと表情で明確にリアクションした。

初対面の俺の言葉に、いかにも好奇心を掻き立てられたようにイキイキと質問攻めで追求し続けて来た彼は、大げさに感動し、笑顔で親しみを表現し、真顔で俺の生き方を尊敬するとまで言い出した。

俺は、顔で笑って、胸の中では彼の人間性に疑いすら覚えた。

どういう人物か、わからないと思った。

本当に素直な気持ちなのか、営業トークなのか。

正直、その時点ではわからなかった。