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「なんてかわいいの! スノーホワイト!」  今日はみーちゃんのジャンガリアンハムスターも連れてきてもらってハムハム交流会である。  とはいっても縄張り意識が強いので一緒にすると血を見るらしい。  残念だがケージにお互い入れたままである。  さっそく気兼ねなくゆっことみーちゃんを家に呼んだ。義母とも編み物を習うのに週一回会っているし、陸翔がいない家は快適である。  もちろんスノーホワイトのリクもかわいいが、みーちゃんのところのプリンもプディングという色でめちゃめちゃ可愛い。 「いいなぁ、私も飼おうかな……ジャンガリアンハムスター……」 私とみーちゃんをうらやましそうにゆっこが言った。 「可愛いよ~」 「一人暮らしだし、癒されるかも」 「ちょっと、前向きに考えてみる」 「ねえねえ、ハムスターボールに入れてお散歩させようよ」 「いいね!」  ハムスターボールとは透明の丸いボールにハムスターをいれて散歩させられるアイテムなのだ。画期的!  これね、部屋の中を移動するハムスターの姿がかわいいの! 「キャー! 可愛い!」 いつもは一匹のハムスターボールが二つ並ぶだけで超かわいい! そうしてしばらく三人で動画やら写真やら撮って楽しんだ。 「けどさ、リクって名前……ラブラブじゃない」 「な、名前は、陸翔がつけるっていうから」 「自分がいない間も想っていてほしいってこと?……なんだかすごいわね」  改めて言われると、恥ずかしくなった。  こうやって思い出させる作戦なら、上手くいきすぎている。 「今回の出張は一か月くらい帰ってこないから……二人とも泊まっていってね」 「もちろんそのつもりできたよ!」 「ねーっ!」 「今日のお土産はミニクロワッサンだぞ~」 「わーい!」 ゆっこが持ってきてくれた紙袋からすでにいい匂いがしていた。  わいわいそんな話をしているとチャイムが鳴った。 「え……誰かきた?」 「祥子様……」  先にモニターを確認していた雅代さんが困惑していた。  突然来るのは母か姉たちか。  そう思って二人に断りを入れてからモニターを見た。   「ん?」  そこには知らない女性が立っていた。そして腕の中には赤ちゃんがいた。  ……誰?  *** 「どなたですか?」 とりあえず、尋ねると謎の女性は赤ちゃんを抱きなおした。  こ、これは!  もしかして、もしかしなくても!? 「この子は陸翔様の子です」  き、き、キターーーーーー!!  やっぱりいたんだな、隠し子&愛人!  と、一瞬興奮していたのだが、なんだかちょっと違った。  うーん……。  違うな。  思っていたのと違う。  陸翔はこんな無責任なこと、しない。  たぶん。 「祥子様、どうしますか?」 「とりあえず、話を聞こうかな……なにかあったらすぐ警察に連絡できるようにしておいて」 「わかりました」  私がなかなか戻らないのでゆっことみーちゃんが心配してこちらを窺っている。 「知らない人?」  私は包み隠さず二人に告げた。 「んー、なんか陸翔の隠し子と愛人かな?」 「な、な、なっ!」  驚く二人。私もびっくりだよ。  赤ちゃんもいるし、小柄な女性っぽいから暴力沙汰にはならないだろう。 「うーん、やっぱり先に芙美お義母様にこのことを伝えてくれる?」  そう言うとすぐに雅代さんが隣で電話をかけてくれた。  しかしこの女性、どこかで見たような容姿だった。  どこで……?  意を決して玄関に向かう。  一番意外だったのは私のこの冷静さだった。  陸翔に愛人がいたら嬉しいと思うと思ったのに、そうでもないし。  微塵も疑う気がない。 「そもそも、多分、好みじゃない気がする」  元カノ榊麗華でさえ、その条件はクリアしていたと思う。  先ほど見た限り、女性は貧乳だった。
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