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宿屋のエントランスは、一階の宿部屋へ通じる通路の横に、二階へと通じる階段があり、その真向かいに外への出口がある。
向かって右方向は広いスペースが確保されており、受付のカウンターがあり、その正面の空間には、食事用のテーブルが五つほど置かれている。
時刻は9時半と、それなりに日も出ているだけあって、人々で賑わっている。
商人風の人も居れば、冒険者風の人、旅人風の人など、種類は様々だ。
加えて、耳の長い壮麗な《森人》や小柄だが豊かな髭を蓄えた《鉱人》など、種族も多様だ。
その様子を眺めていると、ドクオが声を上げる。
('A`)「あっ、ブーン発見!」
声に釣られてそちらに視線を向ければ、一つのテーブルを占領し、天板いっぱいに料理の皿を並べ、今尚料理に食い付いているブーンの姿があった。
周囲の人々はその様子を感心したように見ているか、若干引き気味に見ていた。
ブーンに近付くと、向こうもこちらに気付き、手を振ってくる。
( ^ω^)「おっwww二人とも遅ようさんwww」
ブーンと同じテーブルの席に着き、近くの給仕の女性に軽過ぎず重過ぎないそれなりの食事を注文する。
ドクオも同じような内容で注文する。
待っている間は暇なので、先に要件を済ませることにする。
(´・ω・`)「二人とも、この後、時間あるか?」
ドクオは欠伸を噛み締め、ブーンは食事の手を止め、ショボンを見る。
('A`)「んあ?特に無いって言うか、てっきりギルドに行って冒険者登録するもんだと思ってたが?」
この村へ立ち寄る当初の目的だ。
だが、経験者であるショボンからすれば、急ぎという程でもない。
( ^ω^)「外の露店の食べ歩きくらいですかねwww」
まだ食うのかこいつは。
(´・ω・`)「冒険者登録はいつでも出来るから後回しで良い。その前に、昨日の取得物の分配をしようと思うんだ」
('A`)「あー、確かに。それもやった方が良いな」
( ^ω^)「ショボンは大蛇の遺物持ってないもんなwww意義なーしwww」
(´・ω・`)「うん、それじゃあ、食事を終えたら俺の部屋に来てくれ。来る前に片付けてあるから」
('A`)「了解。なんかワクワクする」
( ^ω^)「わっかるー!www」
間も無くして、ショボンとドクオの元に料理が届く。
その後は他愛のない話をしながらも料理に舌鼓を打ち、ささやかな至福の時間を楽しんだ。
食事を終え、給仕の女性に感謝を伝えると、三人揃ってショボンの部屋へと向かった。
ブーンとドクオは自室に荷物を取りに行くと、すぐに戻り、間も無く、取得物の分配が始まった。
二人をベッドに座らせ、床に布を敷くと、その上に遺物を置いて行く。
対象となるのは、雑に回収した主級魔物の遺物のみ。
取り巻き程度の魔物は、倒して回収した本人の物と取り決めている。
今回で言うならば、分配対象は巨大毒蛇と黒竜騎士の遺物となる。
( ^ω^)「さぁさぁ先ずはこちら!www大蛇の皮!www」
ブーンが取り出したのは巨大毒蛇の皮だ。
艶やかな鈍色の皮で、一見すると鉄板のようにも見える。
ドクオも持っていた同じ蛇皮を取り出す。
('A`)「それじゃあショボン、鑑定頼んだ」
ドクオに頼まれ、ショボンは頷いて蛇皮の一つを手に取る。
(´・ω・`)「任せてくれ」
ショボンはシャキンが武具屋を営むにあたって、その手伝いをする事が多々あり、素材の鑑定の手伝いなどもしていた為、ある程度の目利きが出来た。
(´・ω・`)「鱗が鉱物を取り込んでいた影響か、この皮も鉱物を含んでいるね。皮素材らしい柔軟性と軽さがありながらも、金属性の硬さも持つ。状態異常への耐性も高い事だろう。さしずめ、《鉱殻毒蛇の鋼皮》と言ったところかな」
他の皮も同じようなものだ。
(´・ω・`)「用途としては、革防具はもちろん、鎧の下地としても使えると思うよ」
床に敷いた布の上には、九枚の鉱殻毒蛇の鋼皮がある。
( ^ω^)「なるほどwww一応、ドクオだけじゃ無く、俺らにも関係あんのねwwwじゃあどう分ける?www」
(´・ω・`)「そうだね。取り敢えず、ドクオに多めに分けようと思う。7:1:1でどうかな」
('A`)「助かるけど、5:2:2でも大丈夫かな」
( ^ω^)「良いから7個持って行きんしゃいwwwこの後の甲殻とか鱗を多く貰っても防具に加えるには厳しいでしょう?www」
('A`)「それならお言葉に甘えて」
ドクオに7枚、ブーンとショボンそれぞれに1枚ずつ皮が分配された。
( ^ω^)「ほいじゃあ次ーwww」
次に取り出したのは、まるで分厚い鉱物の板のような、毒蛇の鱗だ。
先程と同じ流れで、似たような鱗が全て場に出され、それをショボンが鑑定する。
(´・ω・`)「《鉱殻毒蛇の鋼鱗》。防具の装甲向き。状態異常耐性あり」
場に出された鱗は全部で16個だ。
( ^ω^)「俺、ショボン、ドクオで6:6:4!www」
('A`)「異論無し!」
鱗分配完了。
( ^ω^)「次!www甲殻!www」
分厚い鉄板の如き鋼色の甲殻。
(´・ω・`)「《鉱殻毒蛇の鋼殻》。鎧の装甲向き。強度と硬度が高い反面、結構重い。状態異常耐性もある。こっちの2個は、首の後ろの広がった部分。《鉱殻毒蛇の堅背甲》。鋼殻よりも堅牢」
場に出された鋼殻は10個。
その内、2個が堅背甲だ。
('A`)「鋼殻は3:3:2で良い。2は俺。堅背甲は二人で分けてくれ」
( ^ω^)「おkwww次!牙!www」
このような調子で、巨大毒蛇の遺物分配は順調に進んでいった。
その後、場に出されたのは、短剣のような大きさの《鉱殻毒蛇の鋭牙》4個と、牙の中でも取り分け大きく、毒を含んだ《鉱殻毒蛇の毒牙》2個、上記の素材と相性が良いであろう《鉱殻毒蛇の濃血》8個だ。
鋭牙はショボンが2個、他二人が一個ずつ貰う代わりに、毒牙をそれぞれ1個ずつ受け取り、濃血はドクオが4個、他二人が2個ずつ受け取る。
武具の強化素材である魔石も入手したが、黒竜騎士の遺物として回収したものと混ざった為、これは後でまとめて均等分配する。
('A`)「これで大蛇の分は分け終わったな」
( ^ω^)「続けて黒竜騎士の遺物分配やってこー!www」
(´・ω・`)「よし来い」
とは言っても、黒竜騎士は魔獣ではない為、生体素材などは無く、取得物は武具などの装備品や魔石となる。
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