第八章『休暇』

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( ^ω^)「俺は黒竜騎士の遺物は魔石だけだったんで何かあれば出してもろてwww」 ブーンが催促すると、ドクオが何かを取り出す。 ('A`)「それじゃあ、いきなり大物だけど、これ」 そう言ってドクオが置いたのは、黒竜騎士の盾だ。 かなりの重さのようで、ドクオは落として床を傷付けてしまわないように慎重に置く。 それをショボンが鑑定する。 (´・ω・`)「…分類は中盾。物理攻撃なら完全に防げる上、この分厚さなら持ち主の負担ーースタミナの消費も軽減してくれるだろう。加えて、火属性に対する耐性が相当高い。他の属性に関しても、生半可なものでは通じないね」 ( ^ω^)「つまり滅茶苦茶強い盾…って事!?www」 (´・ω・`)「ああ。欠点を上げるなら、かなりの重量があるから生半可な筋力じゃ扱えないってところかな」 ('A`)「だろうな。そんでどうする?」 ( ^ω^)「この中に中盾使いが居ない件についてwww」 (´・ω・`)「受け取るとしたら俺かブーンなんだろうけど…取り敢えず、一旦保留にしようか」 ('A`)「ショボンがそう言うならそれで良いけど」 ドクオは一旦、黒竜騎士の盾を端に寄せる。 (´・ω・`)「じゃあ、次は俺ね」 新しい布を敷き、その上に遺物を置く。 ショボンが置いたのは、黒竜騎士の長剣だった。 ( ^ω^)「これはまたwww」 これもまた重厚であり、重量感がある。 ('A`)「超大物来たな」 剣だけとなっても、放つ威圧感は健在だ。 (´・ω・`)「んで、これなんだけど、俺は辞退しようと思う。大盾を持つから、剣は出来るだけ軽くしたい。他の二人はどう?」 ( ^ω^)「うーんwww魅力的ではあるんだけどwww」 ブーンはイマイチ踏ん切りが付かない様子。 ('A`)「俺も辞退だな。今の俺には、この剣は重過ぎる。それに、俺は前、メタルスライムのレア鉱石貰ったしな」 ドクオがそう言うと、ショボンと共に、その視線がブーンへと向く。 (´・ω・`)「じゃあ、ブーンが受け取る、って事で良いかな?」 ( ^ω^)「ちょいちょいちょーいwww」 ('A`)「何だよ。何か不服なのか?」 ( ^ω^)「不服と言うかwwwあれだけの強敵倒して、その見返りが二人に殆んど無いのが、俺的に納得出来ないwww納得は全てに優先される!www」 ('A`)「んなもん良いって、その分、魔石を多めに貰うから」 ( ^ω^)「それはそれで良いけど、ワイに名案があるんだがwww」 (´・ω・`)「名案?」 ( ^ω^)「前に聞いたんだけど、鍛治師には武具などの装備品を金属のインゴットに戻すオプションがあるとか何とかwww」 (´・ω・`)「ああ、あるね。つまりブーンが言いたいのは、剣をインゴットに戻して、分配しようって事か?」 ( ^ω^)「いぐざくとりーwww」 (´・ω・`)「確かにそれは名案だ。その手法で盾も溶かせるだろうし。盾と剣はその方向で行こう」 ('A`)「二人がそれで良いなら、俺も特に言う事はないぜ。じゃあ他に何も無いなら、締めの魔石分配に行こうと思うんだが」 他の二人は問題無さそうだ。 締めとなる魔石分配。 魔石は巨大毒蛇と黒竜騎士の二体分という事もあり、かなり多めだ。 だが、魔石は見慣れているもあり、また、均等分配と言うこともあり、スムーズに行われた。 《魔石の欠片》は、最も低ランクという事もあり、出やすいため数も多いが、それ故に均等に分配するだけで良い。 《魔石の大欠片》は、欠片よりも大きな破片であり、欠片よりは少ないが他に特筆すべきことも無く、均等分配された。 《魔石の塊》は、その名の通り大欠片よりも厚く大きな破片であり、現時点の三人にとっては稀少で貴重な素材だ。 割り切れる数だったのが幸いし、均等分配される。 (´・ω・`)「良し、塊も分配出来たし、これで終わりだな」 片付けに取り掛かるショボン。 ( ^ω^)「ちょい待ってwww最後に一個あるんだがwww」 ('A`)「何だ?出し忘れか?」 ( ^ω^)「まあ見てくれやwww」 そう言ってブーンが取り出したのは、魔石だった。 だが、それを出した瞬間、ショボンとドクオの表情が変わった。 (´・ω・`)「これは…黒竜騎士の遺物だな?」 ( ^ω^)「YES!YES!YES!www」 (;'A`)「これってもしかして…」 ドクオはそこで言葉を飲み込む。 ショボンがブーンの置いた魔石に軽く触れ、見定める。 それは、魔石の塊よりも大きな、岩のようにゴツゴツとした塊だった。 (´・ω・`)「間違いない。これは、《魔石の岩塊》だ」 (;'A`)「やっぱり、そうなのか…かなりのレア物だよな?」 (´・ω・`)「少なくとも、俺は過去に一回しか見た事がない。生半可な魔物からは生じない、魔力の結晶だよ」 ( ^ω^)「あの騎士相当ヤバかったんやなwwwそんでどうする?www」 ('A`)「あ、俺は辞退で」 率先して手を挙げたのはドクオだった。 その目に迷いの色は無い。 キッパリと未練無く、諦めている。 (´・ω・`)「良いのか?」 素材そのものが稀少なのもあるが、ショボンが先程述べたように、生半可な魔物から得られるモノではない。 危険性も含めれば、価値としてはドクオが手に入れた稀少鉱石よりも遥かに高い。 ('A`)「良いも何も、そういう取り決めだったからな。それに、強化も塊までで事足りる」 だが、ドクオはそれを断った。 無理をしている様子は一切無い。 ('A`)「それに、これからも冒険していけば、また手に入れられるチャンスはあるだろうしな!」 ( ^ω^)「まwwwドクオがそう言うなら御厚意に甘えさせて貰うおwwwんで、ショボンwwwどうしようかwww」 ブーンのその言葉をショボンは相談ではなく、交渉と受け取った。 ショボンとしては、ドクオに対する多少の引け目は感じるし、先輩冒険者としてブーンに譲りたいという気持ちもある。 だが、この場でそんな行いをすれば、ブーンに対する不敬であるし、驕りだ。 ブーンもドクオも、既に一人前と呼べる冒険者としてショボンは見ている。 だからこそ、この場での遠慮や配慮は、二人に対する裏切りだ。 それに何より、本心では滅茶苦茶欲しかった。 故に、ショボンはブーンの交渉に乗ることにした。 (´・ω・`)「そうだね。ブーンは欲しいか?この《魔石の岩塊》」
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