第八章『休暇』

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(;´・ω・`)「失礼した。取り乱してしまって」 律儀に頭を下げるショボン、それに続くブーンとドクオ。 (* ゚∋゚)「あらやだ、良いのよん!そんな畏まらなくって!」 そう言って推定店長は、話好きのおばさまのような仕草をする。 片手の手の甲にもう片方の手の肘を乗せた状態で手を振る、アレだ。 ( ^ω^)「あのwwwここって武具屋で合ってるおね?www」 外観は完全に武具屋なのだが、内部はそれを忘れてしまいそうな華やかさがある。 しかし、よくよく見れば、店内の華やかさに違和感はあれど、不快感は無く、寧ろ武具の輝きを引き立てているようにも見える。 絶妙なバランスだ。 ( ゚∋゚)「ええ!そうよ!『キューティー☆くっくちゃん武具屋(ラボ)♡』よ!」 異様に語呂が良い。 キューティーの後と、ラボのところでポーズを取り、最後にウインクで締める。 ('A`)「店の名前そんな感じなんだ…えぇと、店長さん、なんスよね…?」 以前のドクオは、積極的に他人と会話しようとしなかったが、まだ固さはあるものの、思った事を口に出来るくらいには慣れて来たようだ。 ( ゚∋゚)「ええ!申し遅れたわね!この武具屋の店長のクックルよ!気軽にくっくちゃん♡って呼んでね!」 そう言ってクックル店長もとい、くっくちゃんはピース付きウィンクを飛ばす。 (´・ω・`)(くっくちゃんかぁ…) ( ^ω^)「くっくちゃんwwwヨロぴくwww」 (´・ω・`)(言うんだ…) ('A`)「くっくちゃん、よろしくッス」 もう逃げ場は無い。 ショボンは腹を括る。 (´・ω・`)「くっくちゃん、よろしく」 郷に入っては郷に従え、だ。 潔く受け入れよう。 ( ゚∋゚)「ええ、よろしくね!ああ、それと、この子も紹介しなくちゃね!」 くっくちゃんがそう言うと、例の白い浮遊するものが尾を引きながら近付いて来る。 ( ゚∋゚)「この子は、アタシが使役する《使い魔》のビコーズよ!」 白いお面を被った半透明の白いものーービコーズは三人に頭を下げるように折れ曲がる。 ( ∵)「えと、あの、ビコーズです…よろしくお願いします…」 そのたどたどしさは、何処となく幼い子供を連想させる。 ( ^ω^)「ふわふわで可愛いwwwでも使い魔ってことは魔物なんだwww」 ブーンはビコーズに興味津々な様子で、様々な角度から覗き込む。 ビコーズは困惑して恥ずかしそうにしている。 ドクオがブーンの首根っこを掴んで静止させる。 ( ゚∋゚)「そうね。この子は《レイス》ーー所謂、《アンデッド》に属する魔物になるわ」 レイスは所謂、幽霊の事だ。 だが、正確かつ明確な正体が明らかになっている訳ではなく、精霊の一種であると主張する者もいる。 だが、“死に関する場所”に現れる、と言うことだけは分かっている。 レイスは実体を持たず、魔力の塊のような存在であり、物理攻撃がほぼ効かない。 もし敵対するレイスと遭遇した場合は、武器ならば火・光属性、魔法であれば闇以外の属性が有効、その他、アイテムならば聖別された銀や聖水、また物理攻撃でダメージを与えるのであれば、武器に呪いを付与したり、そもそも呪われた武器ならば通じたりもする。 意外にも対処法は多めだ。 しかし、レイスは実体が無い故に、人や物に憑依することができ、そうした場合は対応がより難しくなる。 ( ゚∋゚)「とは言っても、この子は他人を害する事は無いから安心して良いわよ」 そう言ってクックルはビコーズを撫でる。 レイスを使役する方法は限られている。 ショボンはクックルのおおよその正体を察していた。 (´・ω・`)「なるほど、説明ありがとう」 だが、それをわざわざこの場で明かす必要もないだろう。 確定情報でも無い。 ショボンは思考を切り替えることにした。 ( ゚∋゚)「良いわよん。それで本題に入るけど、三人はどう言った用件でウチに来たのかしら?武具の生産?強化?進化?それとも装飾品かしら?」 どうやらこの武具屋はかなり幅広く商売しているらしい。 装飾品まで扱っている武具屋は、街となれば良くあるが、地方の村の武具屋ではかなり珍しい。 (´・ω・`)「一人ひとり違うんだけど良いかな?」 ショボンが窺うように聞くと、クックルは自信満々と言った様子で胸を叩く。 ( ゚∋゚)「任せないよ!二人三人なんて誤差よ!誤差!どんとふっかけなさい!」 その様子から、クックルの鍛治師としての自信と矜持を感じられた。 クックルの言葉に甘えて、各々が装備品を預け、希望する進化の方向を注文し、素材を渡す。 その際に、名前も伝える。 (´・ω・`)「それから、ちょっとした相談なんだが、これらをインゴットに戻す事って出来るかな?」 そう言って渡すのは、例の黒竜騎士の剣と盾だ。 ( ゚∋゚)「ふむ…」 クックルの表情が神妙なものに変化する。 紛れも無い、職人の眼だ。 ( ゚∋゚)「これは…とんでもない品ね」 声もまた一層低い。 (´・ω・`)「ああ。だから持て余していてね。それをインゴットにして強化素材に出来ないかと考えたんだ」 クックルは剣と盾を隅々まで眺め、深く息を吐いてから口を開く。 ( ゚∋゚)「なるほどね。インゴットにするって言うのは良い案ね。このままじゃあ要求される能力もとんでもない。それならば、使い慣れた武器の底上げに使うって言うのは良いアイデアだわ。けどーー」 クックルは一拍挟み、三人に視線を向ける。 ( ゚∋゚)「今の武器のレベルと素材の質では、この剣と盾から精製されるインゴットとは釣り合わない。特に急ぎで無いなら、またの機会に使うことをオススメするわ」 クックルの言葉に、三人は三者三様で考え込む。 ('A`)「なるほど。質の良い素材も、相応の下地と、相性の良い組み合わせが必要なんだな」 ( ゚∋゚)「ドクオちゃんの言う通りよ。武具の作成に大事なのはバランス。何かが一つでも突出しているのなら、他のもので釣り合いを取らないと良い武具にはならないの」 ( ^ω^)「勉強になりますなぁ〜www」 ( ゚∋゚)「取り敢えず、この剣と盾の退化は承ったわ。代金は受け取りの際で良いわ。あ、これは一応、見積もり書ね」 ビコーズが数枚の紙をクックルに渡し、それをショボンが受け取る。 ショボンからブーンとドクオに渡される。
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