第八章『休暇』

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( ^ω^)「ほむwwwつまりショボンは何が言いたい訳?wwwモラハラで言いくるめたい訳じゃないでしょう?www」 (´・ω・`)「もちろん。ビコーズ、その話は当然、くっくちゃんも関わってるんだろう?」 今まで、二人の言い合いを困惑しながら見るしかなかったビコーズが突然話を振られ、驚く。 (; ∵)「あ、は、はい…!」 驚き、戸惑いながらも、何度も首肯する。 (´・ω・`)「それならくっくちゃんにも話を通してーー」 「その必要は無いわ」 良く通る声と共に現れたのは、クックルその人だった。 ( ゚∋゚)「話は聞かせて貰ったわよん」 そして、その後ろには無数のビコーズがいた。 (;'A`)「ビコーズが何人も!?」 ドクオの反応に、クックルの顔に影が差す。 ( ゚∋゚)「ドクオちゃん、このビコーズたちを見て、どう思う?」 クックルの意味深な問いに、ドクオは困惑しながら周囲の無数のビコーズを眺める。 (;'A`)「うーん…なんか、わたあめみたいだなって…」 ( ^ω^)「お前は俺かwww激しく同意ですねwww」 その二人の反応を見て、クックルは微笑みを浮かべる。 だが、それは何処か切ない雰囲気を漂わせていた。 ( ゚∋゚)「ふふっ…ビコーズが貴方達を頼った理由が分かったわ…」 そう呟くと、クックルはショボンに向き直る。 ( ゚∋゚)「ショボンちゃん、どうかこの子のお願い、聞いてあげてくれないかしら?そして、どうか叶えてあげて。それがアタシからの依頼よ。勿論、報酬も約束するわ」 ショボンは納得したように頷くと、二人に振り向く。 (´・ω・`)「…だって、どうする?二人とも」 それに対し、ブーンとドクオは呆れ気味に応える。 ( ^ω^)「どうするも何も、俺はハナからやる気だったんだが?www」 ('A`)「全く、いちいち回りくどいんだよショボンはよー」 (´・ω・`)「おっと、そいつは失敬」 ( ゚∋゚)「ふふっ、憎まれ役は辛いわね」 (´・ω・`)「辛いぜ。さて、それじゃあかなり待たせてしまったけど、ビコーズ、依頼ーーじゃなかった。お願いを聞かせてくれるか?」 (; ∵)「は、はい!」 ビコーズは一拍の間を置いて話し始めた。 ( ∵)「先程、探して来て欲しい人物を私は兄と言いましたが、正確には兄では無いんです」 ( ^ω^)「血の繋がりが無いって事かお?www」 ( ∵)「そうなります。更に加えて言えば、私自身、個と言えるものを持っていません」 ('A`)「えっ?それってどう言う…」 ビコーズは、確かに感情が儚いが、それでも無いようには感じない。 だからこそ、ドクオにはビコーズに個、と言う自意識が存在しないようには思えなかった。 ( ゚∋゚)「それはアタシが説明するわ。アタシはさっき、ビコーズをレイスと言ったわ。だけど、この子はちょっと特殊でね。群体型ーー複数体で一個体のレイスなの」 つまりは、三人の近くにいるビコーズは、ビコーズであるとも、無いとも言える。 それは、クックルの周囲にいる無数のビコーズも同様、ということだろう。 (´・ω・`)「なるほど。全にして一、一にして全という訳か」 全てがビコーズであると言え、そうでないとも言える。 だからこそ、ビコーズは自身を個が無いと言ったのだろう。 ( ゚∋゚)「そして、ビコーズはアタシが使役する前の時点で既に、自意識を持っていなかった。今のビコーズの人格は、アタシが名前を与え、使役し、共に暮らしていく中で育まれたものよ」 予想だにしない、重い話の内容に、気まずい沈黙が流れる。 ( ^ω^)「……ビコーズは、何処に居たんだお?www」 一体、何故、どのように、ビコーズのような存在が生まれたのか。 直接的には口に出来ない。 その欠片を掴もうとする。 ( ゚∋゚)「とある廃教会の中よ。その中で彷徨っているこの子たちを見付けた」 如何にも、な場所だ。 だが、結局のところ、ビコーズが生まれた理由はわからない。 ('A`)「廃教会…」 だが、恐らく、凄惨で悲しい出来事が起こったことは間違いないだろう。 ( ゚∋゚)「此処よりも東の地でね。アタシ達はこの村の出身じゃなく、流れなのよ。この子の兄に当たる子も、此処に来るまでの道中で出会ったの」 それで言いたい分を言い終えたのだろう。 クックルは口を閉ざす。 (´・ω・`)「なるほど……それじゃあ続きを聞かせてくれるか?ビコーズ」 ( ∵)「は、はい…!兄の名前は、エクスト。《デミレイスハーフヒューム》です…!」 ( ^ω^)「ちょっwwwなんぞその横文字www呪文か何か?www」 (´・ω・`)「直訳すると、《半霊半人》かな。半分人間で半分幽霊って感じ?聞いた事ないけど」 半分人間半分幽霊で存在を維持出来るなど、聞いた事がない。 そもそも、半分とは? ( ゚∋゚)「ショボンちゃん正解。エクストは、アタシが瀕死の子供に、《呪術》でレイスを憑依させて延命させた半分不死の希少種よ」 呪術ーー。 魔法の一種であり、《深霊魔法》とも呼ぶ。 (;'A`)「呪術!?憑依!?半分不死!?どういう事だってばよ!?」 半ば発狂して詰め寄るドクオ。 ( ^ω^)「もちつけwww」 それに当て身を見舞うブーン。 ('A`)「オウフ」 力尽きるドクオ。 (´・ω・`)「…やっぱり、くっくちゃん、《呪術師》だったんだね」 先程までは半信半疑だったが、クックルの話を聞き、確信へと変わった。 ( ゚∋゚)「そのセリフ、やっぱり勘付いて居たのねショボンちゃん。そう、アタシは呪術師。自身と周囲の魔力を自在に操り、付与する者。ビコーズの使役も、呪術の(わざ)よ」 魔術は精霊の力、《奇跡》は神の力を魔力によって発揮する(わざ)だが、呪術は魔力そのものを操る。 魔力は精神、ひいては魂と密接な関わりがあると言われている。 呪術であれば、レイスを使役することも、憑依させることも納得できる。 だが、疑問も残る。 (´・ω・`)(憑依はあくまでも憑依だ。幾ら自在に操れると言っても、半分人間半分幽霊なんて、そんな不安定な状態で個として存在を維持出来るような安定した状態に出来るとは思えない) ショボンも呪術師という訳では無い為、詳しいことはわからない。 だが、半霊半人という存在は、常軌を逸しているように思えてならない。 クックルを疑っている訳では無いが、まだ何か隠していることがありそうだとショボンは感じた。
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