第八章『休暇』

11/23
前へ
/379ページ
次へ
だが、わざわざそれを指摘する必要はない。 彼らなりの事情があって隠しているのかもしれない。 (´・ω・`)「えーと、これまでの事を纏めると、探して欲しいのは、二人の家族の一人である、半霊半人のエクストと言う少年、と」 行方不明者のプロフィールが明かされている状況だ。 ( ^ω^)「まとめ助かるwwwその子はいつ居なくなったんだお?www」 時間の確認は重要だ。 ちょうど聞こうと思っていたショボンには有り難く感じた。 ( ∵)「えと、今朝方にはもう居なくなってました…」 かなりややこしい時間帯だ。 朝に出て行ったのか、それとも、深夜に出て行ったのか判断が出来ない。 ('A`)「昨日、最後に見たのは何時頃?」 多少なりとも不明な時間帯が狭まってくれればありがたい。 せめて、深夜か早朝のどちらかに絞れれば、捜索はグッと楽になる。 ( ∵)「私は早く寝てしまって…9時頃起きているのを見掛けました」 だが、思いの外、早い時間帯で最後の目撃情報が出てしまった。 ( ゚∋゚)「アタシも昨日は深夜まで工房に籠っていてねぇ。最後に見たのは夕食後…八時くらいだったかしら」 クックルの追加情報も加わったが、確固たる情報が無く、一行は悩む。 その中で、ショボンはずっと気になっていたことを打ち明ける。 (´・ω・`)「あの、くっくちゃんは何故、エクスト君が居なくなって捜索せずに営業を?」 正直、家族同然の子供が消えたら、血眼になって探すハズだと思っていた。 ( ゚∋゚)「……あの子が家出するのは今回が初めてじゃなくてね…正直、過去と同じくフラッと帰って来るだろうと思っていたから放っておいたのよ」 だが、家出常習犯なら仕方ないとも言える。 ( ^ω^)「それならビコっちゃんは何でそんな大袈裟に?www」 確かに、クックルとビコーズの反応は、全く正反対と言って良いほど乖離している。 ( ∵)「今回だけじゃないです。いつも私は、エクストお兄ちゃんが居なくなると心細くて…今回は、偶然、ブーンさん達が居合わせてくれて、家族のことを聞かれて、思い出して、耐え切れなくて…」 溢すように言葉を紡ぐビコーズは小さく震えていた。 これまでも、寂しさと悲しさを押し殺して待っていたのだろう。 ( ^ω^)「お願いしちゃったとwwwなるほどwww」 ブーンはビコーズの前に膝を突き、同じ高さの目線で、うんうん、と頷き、慰める。 ( ∵)「それに、昨日来た冒険者さんのお客さんが最近、山の方が不穏って言ってて…」 すると、そこで文字通り不穏な話がビコーズの口から放たれ、三人の視線が集中する。 ('A`)「山?」 ドクオが端的に投げ掛けた疑問に、クックルが応える。 ( ゚∋゚)「この村の北西にある、そこそこ高い山があるのよ。普段は獣系の魔物が主な森林が広がる場所なんだけど、何やら最近、きな臭いっぽくてね」 地図の記憶を脳内で展開する。 確かに記憶でも、このツドゥス村の北西には、そこそこの規模の樹木が生い茂る山があった。 (´・ω・`)「きな臭い、とは具体的にどんな感じで?」 三人は朧げな不安のようなものを感じていた。 それを打ち払おうと、ショボンは具体的な説明を求める。 ( ゚∋゚)「何やら獣の死体が良く転がっているらしいのよ。しかも、特に食べられた形跡はないらしくてね。何か異変が起きてるんじゃ無いかって」 三人が感じていた不安。 それは、直近で遭遇した、生態系の異常だった。 ワナイス村でのゴブリン騒動、そして、渓谷での大蛇の出現。 どちらも、元の生態系が破壊され、本来そこにあるべきでは無いものがあり、起こるべきでないことが起こっていた。 それを何となく、頭の隅で考えずにはいられなかった。 (´・ω・`)「なるほど…そりゃ怪しいな…」 そして、そのどちらの異変も、例の黒衣の者たちが関与していた。 ショボンは内心で僅かな苛立ちを覚えていた。 ( ゚∋゚)「とは言え、あの子も危機感が無い馬鹿じゃ無いんだから、そんな場所には行かないとは思うんだけど…」 家出するほど、自我が確立して居るのであれば、危機管理能力はあるだろう。 だが、対象はまだ子供だ。 子供は何をするかわからない。 希望的観測は排除するべきだ。 (; ゚∋゚)「あぁっ!言ってたら何だか心配になって来た!」 クックルは頭を抱え、悶えながら、ウオォォォオンと野太い咆哮を上げた。 (´・ω・`)「取り敢えず落ち着いて。一回、村の中や周辺を俺たちで見回ってみる。くっくちゃん達は、もしかしたら帰って来るかもしれないから、辛いかもしれないけど、店に居てくれ」 入れ違いになり、帰って来たエクストが、今度は探しに出た二人を探しに行き、再び行方不明になる。 この状況下では全く笑えない。 (; ゚∋゚)「よろしくね!三人とも!!」 クックルは、先程までの落ち着きが嘘のように、三人に縋り付くように力強く握手して、激しく腕を上下に振るう。 落ち着いて欲しい。 (; ∵)「兄をどうかお願いします!!」 逆にビコーズは、不安を打ち明けられたからか、落ち着いていた。 これでは、不安に苛まれて落ち着きの無いクックルと不安はあるが冷静に落ち着いているビコーズとで状況が先程と真逆である。 ( ^ω^)「二人とも安心して良いぞwww俺らがそのエクストって子をカカカカッと探し出してやるからおwww」 そんな二人を安心させるように、ブーンが力強く胸を張り、胸を叩く。 ('A`)「そうだな。早く見付け出してあげないとな」 ドクオもそれに同意し、力強く頷く。 (; ゚∋゚)「分かったわ!アタシの方も、あなた達の武具が少しでも早く完成するように頑張るわ!さぁ!行くわよビコーズ!」 ( ∵)「はい!マスター!!」 そのやり取りを背中で受けながら、三人は武具屋を後にした。
/379ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加