第八章『休暇』

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武具屋を出た三人は、村の中心に向かい、歩き出した。 道中、これからの動向を相談し合い、先ず三人が向かったのはーー。 (´・ω・`)「此処が、この村の冒険者ギルドだな」 当初の予定通りの冒険者ギルドだった。 質の良い木造建築の二階建ての建物であり、年季は入っているものの、痛んでいる様子は無い。 (;'A`)「良し、それじゃあ開けるぞ!」 緊張した様子のドクオが建物の扉に触れる。 ギルドの入口は、どうやら両開きの二枚扉のようで、押すだけで開く仕組みになっている。 扉を開き、足を踏み入れる。 同時に、酒と煙草、料理の匂いが一挙にして押し寄せる。 一瞬、気圧されるが、それでも勢いに任せ、周囲に目を向ける。 それと同時に気付く。 周囲からも視線を向けられていることに。 その視線の主は、当然、冒険者達だ。 入口の左右は広いスペースになっており、そこに円形のテーブルが無数に置かれている。 その内の幾つかを占める冒険者達は、如何にもなゴロツキと言った風体で、品定めするようにドクオ達を睨め付ける。 人との交流が苦手なドクオは、気圧されて逃げ出したくなるが、そんな場合ではない。 腹を括り、出来るだけ視線を意識せず、視界に入れないようにして、ドクオは受付カウンターへと向かった。 その後に続くのは、ブーンのみ。 ショボンはと言えばーー。 (´-ω-`)「スゥー…ハァー…」 深呼吸をしながら、ある場所へと向かって行く。 (´゚ω゚`)「よぉ、お兄さん方」 その行き先とは、冒険者達の居るテーブルの方だ。 だが、ショボンは普段の物腰柔らかい雰囲気では無い。 周辺の冒険者達のような、威圧感を漂わせている。 「あぁ?ンだ、テメェ…?」 そのテーブルに座っている一人が、ショボンを睨み付ける。 他にも六人程の冒険者が座っているが、誰もが訝しげに、或いは酒盛りを邪魔されて不快そうにショボンを睨んでいる。 そのテーブルには、煙草の灰皿と料理の皿、酒のジョッキなどが所狭しと置かれている。 ショボンに反応した冒険者も、既に酒で出来上がっている。 (´゚ω゚`)「ちょいと、聞きてぇ事がある。酒飲みながらで良い。話そうや」 ショボンは給仕をしていた女性を呼び、自分を除く、人数分の酒を注文する。 一方、受付カウンターに向かったドクオとブーン。 ーーだったのだが、先客がおり、後ろで待機させられている。 その間、此処までの道中のやり取りを思い出していた。 ーーーーーー ーーーー ーー ー (´・ω・`)『先ずは予定通り、二人の冒険者登録に行く』 ('A`)『そんな悠長にしてて大丈夫か?』 (´・ω・`)『考えはある。俺がギルドに居る冒険者から情報を集める。その間に、二人は冒険者登録しといてくれ』 ( ^ω^)『なるほど?www登録のついでに情報収集……いや、この場合は情報収集のついでに登録?wwwでもすぐ終わりそうだお?www』 (´・ω・`)『それなら先に村の中の探索と聞き込みをしておいてくれ。俺もあらかた集め終わったら外に出る』 ('A`)『それなら何処かで時間決めて集合した方が良さそうか?ショボンはどれくらい掛かりそうだ?』 (´・ω・`)『二時間…いや、一時間くれ。今は…村の時計台で丁度十三時か。だから、十四時に宿の前に集合ってのはどうだ?』 ( ^ω^)『おkwww』 ーーーーーー ーーーー ーー ー ショボンの情報収集も直ぐには終わらないだろう。 だが、二人はいきなり出鼻を挫かれた気分だった。 周辺の探索にしろ、聞き込みにしろ、早いに越したことは無い。 ショボンが情報収集をしている間、自分達でも出来る限りの事はやっておきたい。 そんなことを考えながら待ち時間を過ごすドクオだったが、ふと、隣のブーンが指で小突いて来る。 ( ^ω^)「前の人、さっきの武具屋の前ですれ違った人じゃ無いかお?www」 そう言ってブーンが指差す、受付カウンターの先客は、確かに同じような恰好をしている。 目深に被ったフード付きのマントに、一見、武器が見当たらない様子も同じだ。 それを意識すれば、マントの丈も、くたびれ具合も、同じような気もする。 意識が向いたことで、前のマント冒険者のやり取りが、つい、気になり、聞き耳を立ててしまう。 だが、最後の良心が邪魔して、内容までは聞き取れない。 だが、声色と相手をする受付の女性の困惑している姿から、何やら揉めている様子だ。 これは長引きそうだ、と結論付け、ドクオはそこで聞き耳を止める。 ('A`)「なぁ、前の人、結構掛かりそうだし、少し外にーー」 出て、軽く散策してみないか、と言うドクオのセリフが発される事は無かった。 何故なら既に、ドクオの横に立っていたはずのブーンは、影も形もなくなっていたからだ。 嫌な予感と既視感を覚えながら、ドクオは前に視線を向けた。 ( ^ω^)「ヘイヘイお姉さん達!www何かお困りのようだね☆!!www」 ドクオは目の前が真っ白になる錯覚に陥った。 「何?あんた?」 ロングマントの冒険者の女性は、一切隠す気のない、険を孕んだ声色だった。 そりゃそうだろうと。 見知らぬ男にいきなり馴れ馴れしく声を掛けられれば、そりゃそう返すだろうと。 ドクオは恥ずかしさと怒りと申し訳無さに揉みくちゃにされながらも、ブーンを引き下がらせる為に、向かって行く。 だが、ふと気付く。 ブーンは確かにお人好しだが、この状況で何の考えも無しに、わざわざこんな事をするだろうか、と。 それとほぼ同時に、一瞬、ブーンがドクオへと目配せをして頷く。 正直、不安もある。 だが、ドクオはブーンを信じることにした。 長年、付き添った相棒を。 「あ、あの、次の冒険者さんですよね。お待たせしてしまい申し訳ありません。もう少々、お待ち頂けますでしょうか?」 受付嬢がブーンに頭を下げる。 ……本当にブーンに任せて大丈夫なのだろうか? ( ^ω^)「確かに待っているのはそうだけどwwwそうじゃなくて、何か揉めてるんじゃないの?www」 やはり、と言うべきか。 受付嬢相手でも、いや、だからこそ、だろうか。 ブーンは引かない。 「それが何よ。あんたには関係ないでしょ。部外者は首突っ込まないで、後ろで待ってなさいよ」 フードマント女性冒険者の、声の険がより一層強まる。 完全なる拒絶だ。 見ず知らずの初対面の男なのだから当然だろう。 ( ^ω^)「いやいやいやwww関係無くはないかな!!www俺らも冒険者登録して、此処で依頼受けようと思ってるからさwwwあなたの問題が解決しないと俺らも冒険者生命危うし!wwwなんですわwww」 俺ら、と言うところで、女性冒険者の視線が一瞬、こちらに向く。 顔は見えないが、睨んでいるのは分かった。 そして、敵対心が強まったことも。 だが、ブーンの言ったことが今一つ腑に落ちない。 何故、この女性冒険者の揉め事ーー問題が俺達に関係あるのだろう。
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