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代わりに前に出るのは、盾にして壁役のショボンとモナー。
(#´・ω・`)「さぁ、来い!ここからは正真正銘、殴り合いだッ!!」
《挑発》を発動させ、飛竜の敵視を引く。
同時に、《挑戦者》が発動し、身体能力が向上する。
飛竜が敵視を向けたのは、ショボンだった。
拘束され、攻撃に晒された怒りを露わにして猛り、その巨体を活かして突進する。
飛竜の突進に対し、ショボンは大盾を翳し、身構える。
大盾に飛竜が激突し、凄まじい衝撃と共に、ショボンの体が押し除けられる。
だが、ショボンは大盾の面を滑らせるように受け流し、ダメージを最小限に留める。
突進を受け流された飛竜だったが、その勢いのまま、飛び上がる。
空へと舞い上がり、滞空状態で振り向き、ショボンを視界に捉える。
舞い上がった飛竜の周囲で、風が渦巻く。
飛竜が咆哮を上げると、それは暴風となって吹き荒れる。
それは周囲へと拡散し、この場に居る者、全てに襲い掛かる。
盾を持つ者は防御し、持たぬ者は武器を盾代わりに防御する。
幸い、その暴風には殺傷力や破壊力は無かったが、代わりに周囲に強風が吹き荒れるようになる。
(´∀`;)「“風の領域”…とでも言うべきか…!!」
動きを阻害する訳でも無く、ダメージこそ無いものの、飛竜にとって、都合の良い環境に上書きされたのは違いないだろう。
加えて、恐らく、退路も絶たれただろう。
だがそれは、飛竜にだけ恩恵を齎す訳では無かった。
強風吹き荒れる中、滞空する飛竜へと何かがーー誰かが攻撃する。
ミセ*゚ー゚)リ「はぁあッ!!」
それはミセリ。
低空飛行とは言え、滞空する飛竜の頭部へと二刀の短剣を振るう。
顔面を斬り付けられ、煩わしそうに飛竜がミセリへと噛み付く。
だが、ミセリはそれを、空中で跳躍して舞い上がり、躱すと、反撃の二刀連撃を叩き込む。
(´・ω・`)「あの動きは…なるほど…!!どうやら、飛竜の独壇場という訳では無いらしい…!!」
どう言う訳か、この風の領域内では、ミセリの風の精霊使役もまた、強化されるようだ。
ショボンはモナーと視線を交わし、頷く。
滞空状態の飛竜には、ミセリが対応出来る。
それならば、自分達はミセリの援護に回るべきだろう。
ミセリの連撃が終わり、ミセリは地上へと落下し、着地する。
どうやら、ずっと滞空し続ける事は出来ないようだ。
だが、それでも充分だ。
活路は見えた。
着地したミセリへと飛竜が滞空状態で襲い掛かる。
鋭い刃物のような爪を備えた双脚による掴み。
ミセリと飛竜の間に、モナーが割り込み、その爪を弾く。
直後、飛竜の頭部に大矢が衝突する。
突き刺さってはいないが、ダメージが入ったのは間違いない。
そして、立て続けに、風を纏うツンが疾風の如く駆け抜け、滞空する飛竜の尻尾を足場に駆け上がり、跳躍すると、その無防備な背中に連続射撃を見舞う。
ミセリ同様、ツンの固有技能ーー風読みもまた、この空間では能力が上昇しているようだ。
ξ*゚⊿゚)ξ「あはっ!何これ!スゴい!私が私じゃないみたい!!」
嬉々とした表情でツンは着地し、立て続けに地上から機敏な動きで大矢を連射する。
そこへ飛竜が反撃を見舞うが、ショボンが壁となり、立ち塞がる。
大盾で尻尾を受けつつ、面で受け流す。
(#´・ω・`)「良しッ!滞空中の飛竜への攻撃はミセリとツンに任せる!俺たちは援護だッ!!」
指示を出し、盤面を整えて行く。
その間にも、ミセリとツンは身軽な機動で舞い上がり、滞空する飛竜の頭部、或いは背中へと攻撃を見舞う。
モナーとショボンは、壁として、二人の着地時のカバーに回る。
攻撃の届かないクロハとブーンは、割り切って、攻撃出来るタイミングに備え、待機する。
( ・∀・)「ちょいと試してみるか」
モララーは両手剣を風の飛竜へと向ける。
飛竜の周囲では、風の領域によって機敏になったミセリとツンが、飛び上がり、攻撃し、着地し、回避して、という工程を繰り返している。
時に、着地時に飛竜の攻撃がかち合った際には、壁のショボンやモナーが盾となって割り込む。
飛竜の攻撃は、風を纏った事で、範囲を広げている。
恐らく、攻撃力も増していることだろう。
それらを回避、或いは、庇ってもらうミセリとツン、その二人がタイミングよく同時に着地する瞬間に、モララーは練り上げていた魔術を放つ。
( ・∀・)「“魔法殺し”の魔物ーー竜。その力を見せてみろッ!!」
モララーの両手剣、そこに嵌められた宝石が真紅に輝く。
放たれたのは、紅蓮の珠玉。
火属性の上位魔術、その一つ、《ブレイズ・スフィア》。
太陽のような、炎の塊だった。
それは真っ直ぐ、対空する飛竜へと飛んで行き、直撃する。
球状に爆発が起き、飛竜を爆炎が飲み込む。
その直後、一際強い風が吹き荒れ、炎の残滓と黒煙を吹き飛ばす。
爆煙が晴れた先に舞うのは、先程よりも密に風を纏う飛竜の姿。
その様は、まるで“風の鎧”だ。
飛竜は一際強く羽ばたくと、飛び退くように移動し、地面に着地する。
如何に飛竜と言えど、その巨体を常に浮かせ続けるには、相応にエネルギーを消費するのだろう。
着地した飛竜は、暴風の鎧を纏ったまま、突進する。
巨体に加え、大口を開いてあわよくば噛み付こうとする飛竜に対し、その進行上に位置していたショボン達は、回避を選択する。
無人の空間を突っ切る飛竜だが、すぐさま反転し、回避したショボン達ーーその中でも、ミセリへと執念深く付き纏う。
(#´・ω・`)「ミセリ!こっちに!!」
ショボンが自分の元へと誘導するように指示を出し、ミセリは頷く。
二度目の突進を風の鎧に触れないギリギリの位置で避ける。
先程と同じように飛竜は身を翻し、ミセリを追う。
飛竜の突進、その気配を背中で感じながら、ミセリは真っ直ぐ、ショボンへと疾駆する。
ショボンは大盾を持ったまま、飛竜を待ち構える。
直前でミセリはショボンを飛び越えるように跳躍し、ショボンの背後で着地する。
ミセリはそのまま真っ直ぐ走り抜け、防御体勢のショボンへと飛竜の突進が迫る。
(#´・ω・`)「お前はーー俺にだけ攻撃しやがれッ!!」
重ねるように挑発し、飛竜の気を引く。
ショボンは《挑戦者》の効果で、挑発を使用し、敵視を受け持った事で身体能力が向上している。
更には、先の飛竜の風纏いーー風の鎧も形態変化に含まれる為か、その分でも防御性能が向上している。
飛竜が鋭い歯牙が並んだ口を開き、ショボンへと勢いのまま突進する。
ショボンはそれを大盾の面で受け流す。
飛竜の顎門だけでなく、突進の衝撃をも受け流し、ショボンは飛竜の股下を潜り抜ける。
そして、動きの止まった飛竜へと、タイミングを窺っていたブーンとクロハの二人が斬り掛かる。
クロハは慣れたように練り上げた練気を大刀に流し、気刃を為す。
気刃を振り被り、クロハは飛竜へと剣技を見舞った。
⊿√⊿
ノノル#゚ -゚)リ「はぁあッ!!」
裂帛の気合いと共に放つは、剣技ーーフルムーン・ブラスト。
竜傷力エンチャントによって、赤黒い稲妻が走る刃が、重い三連撃を叩き込む。
続けて、ブーンも飛竜へと大剣を振るう。
クロハと同じく、練気術を体得しているブーンだが、まだ術式は扱えない。
だが、練気術の呼吸を意識し、体内の気を意識する。
それにより、スタミナの消耗を抑え、僅かに攻撃のキレも増す。
それに、ブーンには、取っておきの《飛翔剣》
の力がある。
《ソニック・スラッシュ》を発動し、剣技を叩き込む。
( ^ω^)「どっせぇぇぇぇぇぇええええええええええええいッ!!!www」
ブーンの大剣が豪と唸り、飛竜へと襲い掛かる。
剣技ーーイラプション。
噴火を思わせるような大迫力の斬り上げ。
斬り上げの斬撃から一拍置いて、飛翔剣による衝撃波が炸裂する。
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