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当然、その大剣の刃には、竜傷脂による、竜傷力のエンチャントが付与されている。
竜傷力は、竜種が持つ鱗ーー竜鱗が持つ異能である、あらゆるダメージを半減させる力を打ち消し、同時にダメージを僅かに引き上げる効果を持つ。
それは、魔法よりも武器による攻撃が効果が高く、有効であり、ブーンの場合、衝撃波にも適用される。
クロハとブーン、二人の攻撃ーー剣技が連続で炸裂し、赤黒い稲妻が迸る。
それらは、飛竜の鱗を削り、剥がし、確実にダメージを与える。
その筈だった。
⊿√⊿
ノノル;゚ -゚)リ「これはーー効いていない!?」
だが、二人が武器から感じたのは、手応えの無さだった。
二人の武器ーー大刀と大剣はそれぞれ、僅かに飛竜には届いておらず、その表面の空気の層に阻まれていた。
(;^ω^)「ウゲェエッ!?そんなんアリかよぉ!?」
それは正しく、“風の鎧”。
近付く者を阻害することも、傷付けることも無い。
だが、決して攻撃を届かせない。
「違うッ!!」
絶望する二人。
そこへ突如、励ますような声が届く。
ミセ*゚ー゚)リ「飛竜には届いていないけど、二人の攻撃は確かに、風の鎧を揺るがしてる!!」
ミセリは見ていた。
クロハとブーンの剣技を受けた風の鎧は、僅かに震え、揺らぎ、綻んでいた。
(;^ω^)「それじゃあ、このまま攻撃すればーー」
僅かな希望が見える。
ブーンが言い切る。
それより早く、横を黒い影が過ぎ去る。
(#'A`)「おぉッ!!」
ダメージから立ち直ったドクオが、疾風の如く、飛竜へと駆ける。
それと同時に、飛竜ーーその風の鎧へと、無数の大矢が走る。
ツンの射撃だ。
ツンが放った大矢は、普通の大矢だったが、風の鎧を着実に削る。
ξ ゚⊿゚)ξ「どうやら、風の鎧には竜殺しの力は必要ないみたいね!」
ツンの射撃に続き、飛竜へと肉薄したドクオが、二刀の長剣を振るう。
白銀の長剣と漆黒の長剣、その二つの剣閃が煌めき、風の鎧を削って行く。
だが、飛竜も攻撃されっぱなしでは無い。
翼を広げて舞い上がり、地上のドクオを踏み潰そうと勢いよく着地する。
ドクオは素早く後ろに飛び退く。
飛竜が地面を踏み付けると同時に、地面が叩き割れ、纏う風の鎧が衝撃波となって拡散し、周囲の地面を切り裂く。
ドクオはその衝撃波をも躱すが、飛竜は再び飛翔し、滞空状態となる。
(;'A`)「くそっ、また飛びやがったか…!」
飛び上がった飛竜を見上げ、悪態を吐くドクオ。
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫!その為のわたしだよ!!」
周囲に満ちる風ーー領域の力で増加した風の力で強化した大跳躍により、ミセリは飛び上がり、飛竜の目線へと迫る。
ミセリは空中で風を足場にして空を駆け、風の鎧を纏う飛竜へと斬り掛かる。
ミセリが握る二刀の短剣が輝き、高速の二連突きが風の鎧を穿つ。
二刀流剣技、ダブルスパイクだ。
加えて、ダブルスパイクは多段攻撃であり、風の鎧をガリガリと削る。
ミセリの剣技の後、飛竜が反撃のブレスを放つ。
それは、渦巻く横薙ぎの竜巻ブレスであり、ミセリの表情が緊張で強張る。
だが、ミセリは再び空気ーー風を足場に舞い上がり、横倒しの竜巻を真上を通り過ぎるように躱す。
同時に、ミセリは飛竜の頭上を取り、真上から、飛竜へと追撃の剣技を繰り出す。
ミセ*゚ー゚)リ「これはーーお返しだよッ!!」
右の短剣による高速の二連撃ーーデンジャーバニー。
続けて、剣技連携で左の短剣が輝き、高速の三連撃ーーヴァイパーバイトが風の鎧を切り裂き、削る。
ヴァイパーバイトも多段攻撃であり、無数の追撃が風の鎧を刻む。
そこで、どうやらミセリの滞空限界が訪れたようで、ミセリは飛竜の横を通り過ぎ、重力に従って地上へと落下する。
直前に残していた風の力で勢いを殺し、衝撃無く着地する。
ブレスを終え、上空に残された飛竜は、地上のドクオ達へと咆哮する。
それを見詰めながら、ドクオは険しい表情を浮かべていた。
(;'A`)(確かに恐ろしい…油断出来ない奴だが…こんなモノか?飛竜の力ってのは…?)
ドクオは思い出す。
かつて対峙した、成り損ないの黒竜ーーその暴威を。
ドクオ達が成長したと言うのもあるのだろう。
だが、それでもドクオは疑わずにはいられなかった。
目の前の飛竜が、未だ全力では無いだろうと言う事を。
空を舞う飛竜は、口元に風を収束させ、それを吐き出す。
一度では終わらず、連続で吐き出された風ブレスは、地面に着弾すると同時に渦を巻き、旋風と化す。
無数の旋風が不規則に動き回り、広範囲に渡ってドクオ達に襲い掛かる。
(´∀`;)「流石にこれはガード出来ないな…!」
大盾の防御であっても、常に渦を巻く旋風を一度でも盾で受けてしまえば、たちまちスタミナを削り尽くされてしまう。
動き回る旋風の合間を縫い、やり過ごす一同だったが、突如、旋風を突き破り、飛竜が飛び掛かる。
後ろ脚で掴むように爪を立てる先に居たのは、先程、飛竜を挑発したショボンだった。
(#´・ω・`)「ッつぅ…!!」
ショボンは咄嗟に大盾で防御して直撃を逃れるが、その勢いと衝撃に仰け反る。
旋風のブレスは目眩し。
本命は、この急襲だったのだろう。
だが、ショボンへと近接攻撃をする為に、飛竜は現在、滞空していても低空飛行状態だ。
この状態であれば、近接主体の面子の攻撃も届く。
(*゚∀゚)「これでどうよッ!!」
先陣を切ったのはツー。
離れたところから、両手の指に挟んだ無数の針を飛ばす。
投擲針とでも言うべき針は、飛竜へと正確に殺到し、その風の鎧を削る。
一本一本の威力は低いが、数によるごり押しだ。
更にツーは、投擲と同時に駆け出しており、続け様に短剣による連撃を見舞う。
剣技による、威力でも、特殊効果でも無く、今は手数を増やす。
疾走による勢いの乗った斬撃ーー追い斬りから、短剣を逆手に持ち替えて斬り上げ、すかさず順手で斬り払い、連続突きを叩き込む。
間髪入れずに、一本の矢が風の鎧を穿ち、続けて、風を纏ったツンが追い斬りで肉薄し、短剣の連撃を見舞う。
体術をも織り交ぜた連撃は、風の鎧を揺るがす。
心なしか、風が薄くなっているように感じる。
このまま行けば、風の鎧を打ち破れる。
だが、更に追撃を加えるより先に、飛竜が動く。
滞空状態で羽ばたき、高度を上げる。
飛竜の攻撃を察し、近くから離れる。
その直後、飛竜は勢い良く地面を踏み付け、同時に風の鎧が爆ぜる。
衝撃波も炸裂し、何人も近寄らせないようにした飛竜は、ショボンへと振り向き、続けて攻撃する。
大きく翼を振り上げると、それをショボン目掛けて振り下ろす。
ショボンはそれを大盾で防御する。
だが、翼そのものの衝撃に加え、纏った風が波となって続けて襲い掛かり、ショボンの大盾を揺るがす。
(#´・ω・`)(これは…真正面から受けるのはダメだ…!)
飛竜は一度飛び退き、再びショボンへと翼を叩き付ける。
(#´・ω・`)(翼はもちろん、風も馬鹿正直に受け止めない…!どちらも受け流す!そして、連続で防げるように、最小限の動きで!!)
大盾で防御体勢を取ったまま、ショボンは振り下ろされる翼に集中する。
翼がショボンーーひいては大盾に直撃する直前、ショボンは僅かに大盾の面を逸らす。
先程に比べて、ほとんど反動なく、翼を受け流し、続けて風の衝撃波が襲い掛かる。
だが、それすらもショボンは大盾に触れる寸前に受け流し、反動を軽減することに成功する。
《ジャストガード》と呼ばれる、高等技術であり、通常の防御よりもダメージとスタミナ消費を大幅に軽減する。
そして、そのジャストガードは、反撃する余裕をもショボンに与える。
ジャストガードもガードには違い無く、ガードカウンターが適用される。
ジャストガードで飛竜の攻撃を捌き切ったショボンは、その至近距離で、反撃の剣技を繰り出した。
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