第十九章『“風の王”飛竜ヴィエンティアラ』

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ミセ;゚ー゚)リ「風が…飛竜に向かって集まってる…?」 ミセリには、周囲の風が、螺旋を描くように飛竜に向かって収束していることに気づいた。 だが、果たしてそれが何を意味しているのか。 否、そもそも前提が違っていた。 遅れてミセリは気付く。 ミセ;゚ー゚)リ「ーー!?違う、集まってるのは風じゃない…!!」 “それ”は、ミセリだけで無く、この場にいる全員が感じ取った。 “周囲の気温が急激に下がっている”ことに。 ミセ;゚ー゚)リ「“空気”!周囲から熱を持った空気を集めているんだ…!!」 その直後、突如として吹き荒れていた暴風が止む。 そしてーー。 世界を“白”が飲み込んだ。 それは凍て付く冷気であり、万物を凍り付かせる氷の息吹。 それは瞬く間に広がり、その軌跡には氷のイバラが突き立つ。 冷気は広場全体を凍り付かせても留まる事無く、未だ飛竜の火炎で燃えていた森をも凍て付かせる。 その冷気の波動は防ぐ事も避けることも出来ず、ミセリ達は誰一人として例外無く、飲み込まれる。 だが、不幸中の幸いだったのは、この冷気が、白のリザードマンのような、動きを封じるようなものでは無かったことだろう。 ほんの一瞬、全身を氷が包むが、それは瞬く間に割れ、砕け、更に、地面から突き立つ氷のイバラによって勢い良く吹き飛ばされる。 冷気の靄が漂う中、ショボンはどうにか起き上がる。 火を纏っていたお陰で、ダメージは最小限に抑えられた。 ただし、その代償に、その火は消えてしまった。 暫くは使用出来ない。 ショボンは長剣を支えにして立ち、周囲を見渡す。 無数の氷の棘が地面から生え、斜めに伸びている。 (メ´ ω `)「氷の属性まで使えるとはな…流石は竜…規格外だ…だがーー!!」 ショボンは長剣を振るい、周囲の氷を叩き折る。 (メ#´゚ω゚`)「こんなモンで止まるかよぉッ!!テメェがどれだけ強かろうと関係ねぇッ!!魔物は狩るッ!!一匹残らずッ!!」 ショボンは長剣を両手で握り締め、氷柱を折りながら飛竜へと向かう。 一方、ショボンのような火の護りは無いが、重鎧と飛竜の形態変化による挑戦者の効果によって、防御力が上がっていたモナーもダメージは軽微だった。 (´∀`;メ)「クソッ…こんなの防ぎようが無いじゃないか…!!みんなは無事なのか…!?」 立ち上がったモナーは辺りを見渡すが、氷柱によって視界は遮られている。 (´∀`;メ)「頼む…みんな無事で居てくれ…!!」 祈りを込め、モナーは目の前の氷柱へと斧を振るった。 クロハは、獣人と言う元の頑強さに加え、更に防御力が高まる獣化、それなりに高い防御力の鎧という事も相俟って、重傷を免れていた。   ⊿√⊿ ノノル;メ゚ -゚)リ「…っく…ミセリと…ツンは…ッ!!」 クロハは自身の持つ千里眼を使い、仲間たちの状態を探る。 そして、目にした光景を前に青ざめ、すぐさま大刀を振るう。 氷柱を砕きながら、クロハは仲間の元へと向かうのだった。 (メ^ω^)「クソがwww派手にやってくれんじゃねぇのwwwふざけやがってwww」 重鎧ではないが、全身を覆う鎧によって守られたブーンのダメージは軽微に抑えられていた。 ブーンは持ち上げた大剣を振るい、周囲の氷柱を叩き斬る。 ( ^ω^)「こんなバカみたいな相手と戦うとかイヤすぎるwww」 回復しながら、ブーンは索敵を頼りに、飛竜の方角へと向かう。 (メ・∀・)「風に火、そして氷か…めちゃくちゃだな」 モララーは氷の上に寝転がって腕を組み、飛竜について思案していた。 (メ・∀・)「体内で炎を生み出すような構造がありながら、同時に冷気を生み出す…全く以って規格外だ。はぁ…」 モララーも鎧と、そして魔力による防護によってダメージを抑制していた。 重い動作で起き上がり、両手剣を担ぐ。 暴風と冷気によって、両手剣に付与した爆破属性はすっかり掻き消されていた。 ( ・∀・)「まあ、しゃーない。切り替えて行こう」 回復しながら、再び飛竜の考察に戻る。 ( ・∀・)「どうやって火と氷の属性を両立させている?どちらも対極に位置する属性だ。やはり鍵となるのは“風”か…?」 物思いに耽りながら、モララーは氷柱を両手剣で砕き、飛竜の元へと向かう。 一方、クロハは仲間の元へと向かうべく、大刀を振るい、氷柱を砕きながら進む。 そして遂に、最後の氷柱を叩き折り、目的地に辿り着く。 その先にはーー。 ミセメ ー )リ「ぁ…ク、ロハ…」 自身が傷付きながらも、意にも介さず、誰かに寄り添うミセリの姿があった。 そのミセリの元には、身体の至るところに氷柱が突き刺さったと思われる傷が付いたツンが横たわっていた。   ⊿√⊿ ノノル;゚ -゚)リ「ーーツン!!」 クロハも弾かれたように駆け寄る。 ツンは口から血を垂れ流していた。 内臓が何処か、傷付いているのかもしれない。 クロハは改めてツンの傷を確認する。 ミセメ ー )リ「わたしが…わたしのせいで…ツンが…どうしよう…いや…死なないで…ツン…お願い…あなたが居なくなったらわたし…」 ミセリはすっかり塞ぎ込んでしまっている。 クロハとしては、ミセリを励ましたいのは山々だが、今のツンの状態は一刻を争う。 ツンの状態は確認出来た。 両肩、右脇腹、右太腿が完全に貫通し、穴が空いている状態だ。 そして、鳩尾と下腹部の二箇所に貫通には至らない傷。 その他、頬や二の腕、太腿や胸などに擦り傷がある。 完全に重傷だ。 ミセメ ー )リ「ツンが庇ってくれて…そのせいでツンが…ごめんなさい…わたしがもっと早く気付いていれば…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 ミセリも完全に錯乱してしまっている。   ⊿√⊿ ノノル;゚ -゚)リ「ミセリ!私が何とかする!だからーー」 励ましの言葉をかける。 その瞬間、クロハが現れたのとは反対方向の氷柱が砕け散る。 現れたのはーー。 (メ゚∀゚)「ふぃ〜、全く、短剣だと氷柱を折るのが大変だぜ!!」 頬に擦り傷が付いているのもの、軽傷のツーだった。 ツーはツンとクロハとミセリのそれぞれへと視線を移すと、状況を把握したのか、納得したように頷く。 (メ゚∀゚)「…良し!ミセリ!おいで!!」 俯き錯乱するミセリへと手を差し出す。 ミセ;メ ー )リ「わ、わたしは…もうーー」 ミセリはツーから目を外し、拒否の意を示す。 だが、それでも構わず、強引にミセリの腕を掴む。 (メ゚∀゚)「はいはい、口答えしなーい。ただでさえ人手不足なんだから、休んでる暇なんて無いよーん」 ミセリを連れて行こうとするツーに対し、ミセリはその手を振り払おうとする。 ミセ;メ ー )リ「わ、わたしはーー!!」 ツーを拒絶しようと、声を張り上げる。 それよりも早く。 (メ゚∀゚)「ミセリ、ツンがお前さんを助けたのは何でだ?」 ツーの核心的な言葉がミセリに突き刺さる。 ミセ;メ ー )リ「ーー!!」 ミセリの身体が強張る。 (メ゚∀゚)「そうやって俯いて悲しませる為ーーそんな訳ないよなぁ」 ツーはあからさまに、わざとらしく、ミセリに問いかける。 ミセ;メ ー )リ「…」 分かっている。 ミセリ自身、こうしている場合ではないことに。 頭では、理性では理解している。 けれど。 (メ゚∀゚)「あたしよりもツンとの付き合いが長いミセリなら、わざわざ言わなくても分かるよな?」 為すべき事が何なのか。 そんなものは分かり切っている。 だけど。 いや、そんなモノは言い訳に過ぎない。 言い訳に過ぎないと、自分に言い聞かせる。 ミセリは、ゆっくりと立ち上がる。 そして、目元を拭う。 ミセメ ー )リ「ーーツー…ごめん」 ミセリが言うと、ツーはニヤリと笑う。 (メ゚∀゚)「ここは『ごめん』じゃ無くて、『ありがとう』だぞ?」 ツーの言葉に、自然とミセリの口元にも笑みが浮かぶ。 ミセメ ー )リ「…ありがとう、ツー。クロハーー」 背後のクロハに声を掛ける。 クロハは今尚、ツンを治療する為に奮闘している。 クロハは手元は動かしながら、意識をミセリの声に向ける。 ミセ*゚ー゚)リ「ツンをーーお願い」 その言葉は、力強い思いが籠っていた。   ⊿√⊿ ノノル ゚ -゚)リ「ーーああ!もちろん!!」 クロハが応えると、ミセリは僅かな笑みを浮かべ、ツーと共に駆け出した。
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