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「あ…これ可愛い」
惹きつけられたのは、ピーナッツバターだった。
出掛けにピーナッツを見つけた記憶が思い起こされたのかもしれない。
こちらは落花生の形をした瓶に詰められており、そのフォルムがどうしようもなく愛おしい。
「僕にプレゼントさせて?」
私が手にとって隅々まで眺めるくらい気に入ったのが伝わっていたのか、マークがプレゼントしてくれた。
「…可愛い」
「可愛いよね、この落花生型の瓶が…」
「そうじゃなくて、和歌さんのことを可愛いって言ったんだよ」
普段は冷静に物事を俯瞰してしまうのに、マークの褒め言葉は素直に受け取れてしまう。
私が躓かないようにと気遣って繋いでくれた手は、ベンチに座ってからも、もう躓くはずがないのに繋がれたままだ。
すっかり私は、恋に落ちていた。
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