“We Are The People”

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「でもなんでこんな面倒臭いこと、いつまで続けなくちゃいけないのかなあ」  嘆くポボスは今回のオペレーションの衣裳は現地調達するつもりだったので、部屋着のニューヨークヘラルドトリビューン新聞社のカットソーを着たままだった。 「奴等が死ぬまでだろ」 「だってアイツ等、不老不死じゃん」 「それまでは俺たちはあっちこっち飛び回って死んで生き返ってを繰り返すだけだよ。逃げたって無駄だし」 「分かってるよ。どうせ27歳までしか生きられないようにプログラミングされてるしね」 「そのくせ “The 27 Club” の仲間には入れて貰えないしな」  エレオスはジャン=ミシェル・バスキアの絵を眺めながらジム・モリソンの歌を流し始め、安いウイスキーを瓶から直接呷った。 「そっちだって味なんてしないでしょ?」 「喉が焼けるのが好きなんだよ」 「いい加減にしないと酒気帯び運転で捕まるよ」 「この世界で誰が取り締まりなんてするのかよ。古い映画の見過ぎだよ、お前」 「そうかもね。ふふ。お待たせ。さあ、そろそろ行きましょう」 「確認したら今回の仕事は楽勝っぽいぜ。危ない橋を渡らなくてもいい。わざわざ刈らなくても、断首されたのを盗むだけでいいから」  エレオスはポボスが乗り込んだのを確認し、黄色に塗って市松模様を描き加えた時間航行機(Yellow Cab)の量子エンジンをバーストさせ、衛星軌道のビブリオテカから時空に飛び出した。
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