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かつて地上を覆っていた草原を想わせる緑がかったブルーの色をしたヴェルベット製の太古の絨毯の上に、天動説を否定した世界を模した地図が描かれた天板を、半神半獣の半裸の四人の神の飴色の彫像の脚が支える、デカダンスで悪趣味な巨大テーブルが置かれていた。
その上に広げられたパールホワイトのテーブルクロスの上に絢爛豪華な美食に囲まれ、本日の主役の生首が鎮座していた。
テーブルに紳士と淑女が列席している。よく見ると彼等の顔の皮膚には年老いて見えるようにエイジング加工された偽装皺が刻まれている。それが紳士淑女らの今日の気分だった。古代に珍重されたヴィンテージジーンズの経年劣化に似た味わいを再現するかのようにレプリカな加齢を楽しんでいた。彼等に年齢の概念はない。今日の晩餐を待ち遠しく揉んでいる蓄光ソフビのフィギュアのような本来の軟体生物的な両手の指には関節の皺さえなかった。
その男女は、互いが競い合うように贅を尽くした時代考証を無視した出来そこないの舞台衣装のようなデコラティブかつモダンでクラシカルな仰々しい身形をしていた。その奇妙さに負けないように、部屋の調度品もグロテスクなまでに過剰装飾なバロック様式で纏められ意図不明でインスタントなインスタレーションを呈していた。
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