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3  話は二週間ほどさかのぼる。  スガヌマミチオの住むワンルームマンションの一室に、ミチオを含めて五人の男女が座っている。テレビがついていてワイドショーが放送されているがだれもテレビを見ていない。会話はなく五人がそれぞれただボンヤリと座っている。  ミチオがひとり言にしては大きな声でいった。 「あーー、退屈だねぇ」  誰も何もこたえず、ボンヤリしている。  ミチオがもう一度大きな声でいった。 「あーー、めちゃめちゃ退屈だねぇ」  やはり誰も何もこたえず、ボンヤリしている。  ミチオが今度は小さめの声でつぶやいた。 「なんかおもしろいことないかなぁ」  ユキがミチオの言葉にこたえたのかひとり言なのか分からない口調でいった。 「ほんま、最近ワイドショーつまんないなぁ」 「いや、ワイドショーの話じゃなくて、なにか面白いことしたいなって」  ミチオが言葉を返すが、その言葉に誰もこたえない。  会話と呼ぶには長すぎる沈黙を挟んでマコトがいった。 「たとえば?」 「いや、わかんないけど。なんかないかな?」 「うーーん……普通の大学生がやりそうな遊びはひと通りやったもんなぁ……」 「もう完全に飽きたんだよね。浪人の時は大学行ったらおもしろいこといっぱいあるんだと思ってたのに……確かに最初は新鮮だったけど、なんて言うかもうパターンが分かったというか。このまま同じようなこと繰り返してるうちに時間だけ過ぎていくのかなぁって」  二人の会話にユキが参加する。 「最近のワイドショーはなんかニュースっぽいしな」 「いや、だからワイドショーの話じゃないんだって」
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