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「でもめっちゃ面白かったやん。みんなオウムの仕業やって分かってんのに、教団の広報担当の男前なんか何なんかよく分からん感じの人が出てきて論理的に反論するみたいな顔してちっとも意味の分からん言いわけばっかりして。ワイドショーの側の人らもわざとなんか天然なんかしらんけどいつのまにかオウムのルールに慣れてもうて、サティアンとかアーチャリーとかそんな言葉ない言葉やのにまじめな顔で言うようなって。長くて出口のないコントが延々続くん、ずっと見てられたで」  まくしたてるユキにヨシノリが諭すようにいった。 「いっぱい人が死んだ事件をそんなコントとか言って面白がるん、どうかと思うで」 「あらぁ、あんた、そんな倫理観に満ちたしょうもない正論吐く子やった? 見ず知らずの人が死んでもなんにも悲しくないやんか」  ユキの言葉にマコトが同意を示す。 「ワイドショーの側も面白く作ろうとしてたし、明らかに悪意あったもんな。麻原の弁護士やった歯ぁないおっさんの顔にマイクぐりぐり押しあててたし。それやのにスタジオのキャスターは深刻そうな顔くずさへんのがコントみたいで」 「そうやねん。で、実際それが視聴率稼ぐってことはテレビ見てる側もそれを求めてるってことやんか。みんな心の中では面白がってたはずやねん。誰にもバレへん心の中ではこっそり面白がってるくせに、人前では倫理的な正論吐くような卑劣なムッツリスケベと友達やったと思うと悲しいわ! そんなんやからエアマックス左だけ盗まれんねん!」 「やかましな、そこまで言わんでええやろ。エアマックスの話はいま関係ないし」  ヨシノリが苦笑いで返した。 「え!? どういうこと? 左だけ盗まれたん?」  マコトがユキの言葉に興味を示すと、ユキは楽しそうに解説し始める。
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