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「恋愛とか仕事とか社会的評価とかを通して自分自身に価値を見出すことができる人は、それが勘違いだと気づくまではそれなりに幸せそうに生きていけるのよ。でもそういう競争に敗れて何も手に入れられない人だっているでしょ。昔なら宗教がそういう人達を騙してあげたんでしょうけどそうもいかなくなったから、今はテレビが下品なやり方でその穴埋めをしてるの。不幸のどん底にある人とか何もかも失った人とか、おかしな新興宗教を信じてるバカそうな人とか、幸せ謳歌してた美男美女の有名人が不倫騒動で小突きまわされてる姿とか、そういう他人の不幸を安全な場所から見物させて、自分より下のやつが居るんだなって確認させてあげて、相対的に自分の価値が上がったと勘違いさせてあげるのね。何も手に入れられない人が勘違いするための手段ってそんな風に他人の足を引っぱるか、あとは自分にとって都合のいい嘘に逃げこむくらいしかないのよ。たとえば国粋主義とか。戦争に勝って国家の価値が高まると、まるで自分自身の存在価値が高まったみたいに喜んで。もし特定の国家が抜きんでた力を手に入れたとしても、そこに属してるすべての人が優れてると言い切る理由になんてなるわけないのにね。共産主義もそう。知力も体力も容姿も産まれてくる環境も平等なわけないのに、そんな現実から目をそらして自分は善良で幸せになるべき人間だと思ってたいだけなのよ。マルクスの複雑な理論なんて理解してないどころか理解しようとすらしてないんだから。
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