1996年は小鳥教団の年

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　画面が切り替わり、天神橋筋六丁目警察署と書かれた建物の脇に立つレポーターの女性が神妙な面持ちで話しだす。
「こちらは天神橋筋六丁目警察署の前です。六月二十八日のお昼ごろ、こちらの警察署にキトウヨシノリさんが保護を求めて駆けこみました。しかし警察はキトウさんの訴えにまったく取り合おうとせず、むげに追い返したというのです」
　手に持った原稿をチラリとみてからレポーターの女性が言葉を続けた。
「警察からの発表によりますと、六月二十八日の早朝にキトウヨシノリさんと思われる男性が現れ『小鳥に追われてる、助けてくれ。小鳥が来る』と興奮した様子でまくしたてるように話していた、とのことです。担当の警察官はキトウさんをいったん警察署内に招き入れたにもかかわらず簡易検査の結果、覚醒剤使用の痕跡がないことだけを確認すると帰宅してよいむね伝えたというのです」
　レポーターの女性は深刻そうな口調で続ける。
「そしてその直後からキトウさんは日本各地を転々と逃げまわり、家族とも連絡が取れない状態が続いています。キトウさんの話をまったく聞こうとしなかった警察の対応にはやはり疑問が残ります」