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大きな一軒家の前で男性のレポーターがインターホンにマイクを押し当てている映像に切り替わる。一軒家の表札には「紀藤」と書かれている。インターホン越しに住人の女性の声が聞こえる。
「いや、どこ泊まってんのか、何日か帰ってこぉへんことはよくあるんですけど、そういえば今回はえらい長いなぁってお父さんが言うからヨシノリの携帯電話にかけてみたんです。そしたらあの子の部屋で電話が鳴って、あらぁあの子、部屋でケータイ充電しっぱなしやないのってなって」
レポーターの男性がインターホン越しに問いかけた。
「はい、それで警察に捜索願を出されたということですか?」
「いや、どこ泊まってんのか知らんけど、何日か帰ってこぉへんことはよくあるから、警察行くことでもないか言うてたんです。でもあの子、ケータイ部屋に置きっぱなしにしてやるからこっちからは連絡できへんしむこうから連絡してくるような子でもないし、いったいいつ帰ってくんのかなぁ思て。ケータイの過充電はなんか良ぉないらしいけどけど、部屋のなか勝手に動かしたら怒りやるから」
生中継に切り替わり、同じ一軒家の前に立った男性レポーターがカメラに向かっていった。
「はい、というわけでして、ご両親も大変にご子息の安否を心配されています。お母様の悲痛なお気持ちを思いますと一刻も早い解決が望まれます。現場からは以上です」
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