下女の正体 ———*

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「それは単にお二人が、恋に落ちた……だけでは?」  フィフィーの言葉を聞き、リズロッテは整った面輪いっぱいに苛立ちの色を滲ませた。 「ですから、あの皇太子殿下なのよ?! そうやすやすと誰かと恋に落ちるだなんてありえませんわ。その女……実はどこぞの闇の集団と結託していて、黒魔術か何かでおかしな媚薬を仕掛ける魔女なのではないかしら。良からぬ者達が良からぬ事を企てていて、魔女を皇城に送り込んだのかも知れないでしょう?」 「あのう、リズロッテさま。それって陰謀小説かなにかの読み過ぎなのでは……」 「わたくしはここで失礼いたしますわ。まだ後宮に来たばかりですし……大事(おおごと)になって、婚約破棄になっても困りますのでっ」  フィフィーがまず先に逃げだした。 「わたくしも!!」  と、エミリオがフィフィーに続く。
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