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昼食を摂ってから、ゆうに半日が経っている。空腹は否めなかった。
——なんだか変なことになっちゃったけれど。食事を分けてもらえるのには感謝しなくちゃ……。
マリアが格子扉の奥のトレイを自分側に引き寄せようとしたとき。
突然に男の腕が伸び、トレイを鉄格子の外側に突き飛ばす。その拍子に深皿が飛んでマリアのそばの床にスープが飛び散り、足元にパンが転がった。
「な……っ、何を?!」
驚きすぎて言葉を失ってしまう。なのに男は至って涼やかだ。マリアが焦るのを見て、面白がっているのだ。
「すまない、手が滑った」
——わざとだ。わざとトレイを押したんだ。
「……どうしてこんな事をっ」
「与えられれば、君はどんなものでも食べるのだろう?」
そう言って顎をしゃくり、床に落ちたものを指し示す。
「そのパンとスープは俺が君に与えたものだ」
——スープ?
男は確かに言った、「パンとスープ」。
足元に転がったパン、そしてスープは……
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