後悔

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後悔

明るい日差しのなか、目を覚ましたマリアはすっくと起き上がり、ベッドサイドの窓を大きく開いた。  いつもと同じ呑気な小鳥の囀りが、爽やかに渡る初夏の風が。  なぜだか今日はとても新鮮で、愛おしくさえ感じてしまう。  昨日の地下牢で見せた男の破壊的な(!)美しい笑顔を思い出す。  同時に今日もまた彼が拷問に遭うのだと思えば、胸の上に氷でも押し付けられたような冷たい寒気が襲うのだった。  ——何か私にできることは無いのかしら。  マリアが地下牢へ向かうのは午後二時と決まっている。王宮にさえ行かなければ、王城内を出歩くことだって許されているのだ。  ——ただ考えてるだけじゃ、時間が勿体無いわ。  男は、宰相に伝えることが出来ればすぐに釈放されるはずだと言っていた。  ——どうにかして宰相様にお伝えすることは出来ないのかしら……? そういえば、あの人の名前を聞いておけばよかった。私ったら、また大失態っ。  宰相に会うためには、王宮に入る必要がある。だけどマリアにはそれが許されていないのだ。  ——他は何だってできるのに。一番したいこと、しなくちゃいけないことが出来ないなんて! 「あふぁ〜」  大あくびで目を覚ましたのは、隣のベッドのクロエだ。
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