後悔

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 こじんまりしたこのウェイン城の中庭はさほど広くなく、王族貴族が住まう王宮に着くまでたいして時間はかからない。  マリアが王宮の正面扉を見つめていると、幾人もの警吏たちがバタバタと駆けて来るのが見えた。  ——人の出入りなんて滅多に見ないほど静かな王宮が。何だか騒がしいわね?  警吏のうちの二人が歩きながら話す声がマリアの耳に届いた。  マリアは茂みの影に隠れ、聞き耳を立てる。 「もう十日以上経つのだ。ロベルト様の苛立ちが甚だしいのは知っているだろう?!」 「国中を隈なく探したのだ、見つからんものは見つからん。そもそも帝国側の把握ミスじゃないのか? その……我が国が情報を隠蔽しているなどと!」 「業を煮やした帝国側が我らの報告を今か今かと待っている。ウェイン国内で皇太子の身に何かあれば、ロベルト様はおろか国王の……いや、この国の存続すらも危うくなる」 「とにかく。ロベルト様に状況を知っていただき、新たな手立てを乞うしかないだろう?」 「ちょっとすみません!」  突然に呼び止められ、王宮に入ろうとしていた警吏の二人ははたと足を止めた。マリアのお仕着せをまじまじと見つめる。
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