後悔

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 はやる心を抑えながら、バケツとブラシを受け取るために看守部屋を訪ねる。  マリアの姿を見るや否や、いつもの看守が厭な薄ら笑みを浮かべてマリアに話しかけた。 「おっ、来たか。時間ピッタリとはいい心がけじゃねぇか。掃除は楽しいか? 奴のあの様子じゃ、今日はバケツ一杯じゃ足りねぇかも知れんがなぁ……」  ——なんですって?!  マリアの背中に冷たい汗がじわりと滲んだ。  受け取ったばかりのバケツを放り出し、鍵束を看守の手から奪うように取り上げて独房エリアに向かって走る。  鍵穴に鍵を押し込むとき、慌てて重い鍵束を何度も落とした。心が叫ぶ——早く彼のところへ行かなくちゃ……。  なのに男の独房に近づくほどに恐怖が押し寄せて、足が思うように動いてくれないのだった。  そしてマリアの不安は的中する——…  ——なんて、こと……!  無意識に手のひらで口元を覆っていた。  独房の外にまで流れ出した赤い液体が、マリアの足をすくませる。
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