薔薇と疑問の香り

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「にゃー、にゃー」 (急に怖い顔してどうしたにゃ?)  心配そうに見上げる仔猫のジルには、マリアが抱えはじめた疑問など想像もつかない。  薔薇の甘い香りが、研ぎ澄まされた五感のなかで鮮明に漂う。  これが幸せな夢ならばいつまでも覚めないでいてほしい。  抱きはじめた霧のような疑問など、薔薇の香りに紛れて消え去ってしまえばいいのにと願うのだった。  
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