下女の正体 ———*

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 ——この先は『エタニティ・プロンプト』がなければ入れない。  二年近くもいれば皇宮のあらかたの事情は把握している。仕方なく、鉄格子から獅子宮殿の中庭をそっと覗き込んだ。  どこからともなく涼しげな水音が聞こえ、耳を澄ませる。どうやら近くに噴水があるようだ。甘やかな薔薇の香りが、風に乗ってリズロッテの鼻腔にまで届いた。  色とりどりの薔薇が咲き乱れるバラ園に目を凝らすと、白いタイル張りの噴水のたもとに二つの影が動くのがわかった。  漆黒の礼服を纏った背高い青年と、もう一人は淡い藤色のワンピース、緩やかにウェーブがかる珍しい髪色の若い女性——。 「ジルベルト殿下……それにあの女……!?」
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