失踪事件の結末

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 薄く開いた青い瞳に、マリアは映っているのだろうか——。 「あなたの名を教えてください……! 私にどうか、名前を教えて……?」  マリアの声が耳に届いたのか、男が唇を動かそうとするのがわかった。マリアは男の口元に耳を寄せる。 「……ル、……ト」 「え……? もう一度、言ってくださいっ」 「ジル、……ベル、ト」 「ジル……、ジルベルト?」  男がうなづいたような気がした。衣服が千切れてボロボロになった腕を持ち上げて、手のひらをどこかに持っていこうとする。 「え……腕を、どうしたいのですか?」  よろよろと持ち上げたその手は、どうやら男の首の辺りを示している。 「これ、……を……宰相、に」 「えっ?」  男の意識は朦朧として、そのまま気を失ってしまう。  恐る恐る、マリアの膝の上に頭を預ける男——ジルベルトの首元を探れば、銀の鎖に繋がれたペンダントのようなものが首に掛かっているのが見えた。 「あなたが示したのはこれのことね? これを宰相様に、見せれば良いのですね……?」  ——痛いですよね、少しだけ我慢してください。  心の中で謝りながらジルベルトの首からペンダントを持ち上げ、頭を通してそっと抜き取る。  銀の鎖には親指の先ほどの大きさの塊がぶら下がっていた。表面をよく見れば、四角い縁で囲むようにして、何やら(かんむり)を頭に乗せた(ワシ)が翼を広げたような繊細な模様が彫り込まれている。
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