失踪事件の結末

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 マリアは王宮の裏手に回り、前に一度だけ訪れたことがある鳥舎の前に立った。鳥舎の中には多くのニワトリが飼育されている——その数はゆうに三十羽を超えるのだ。  鳥舎の鍵が、扉のすぐそばに吊り下がっていることも知っていた。急いで鍵を掴み、解錠して鳥舎の扉を開け放つ。ニワトリたちは突然寝床の中に襲来したマリアに驚き、ギャーギャー鳴きながら鳥舎を飛び出した。 「大変っっ! 鶏が逃げ出したわ、捕まえて!!」  大声で何度も叫べば、王宮の裏口から何人か人が出てきた。裏庭の木をいじっていた庭師が「あらま!」と梯子を降りて駆けてくる。裏庭を方々に駆け回るニワトリたち。あっと言う間に裏庭は、人間と鶏の大捕物で騒然となった。  王宮の裏口が開いている。周囲の大騒ぎの隙を突いて、マリアは裏口から王宮の中へと駆け入った。 「ちょっとあんた!」 「……どうしたの?!」  すれ違う使用人たちがマリアを見て振り返る。構わずに疾走し、先ほど外から眺めた正面入り口の奥にある大階段を駆け上がった。  はあ、はあと息が切れ、足取りが重くなる。 「宰相様っ……。宰相様はどちらですか……?!」
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