失踪事件の結末

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 二階、三階まで上がれば、階段ホールを通してマリアの声が響いた。数人の侍従がやってきてマリアを取り囲む。 「お前っ、下級メイドじゃないか。ここはお前のような者が来る場所じゃない。一体どういうつもりだ!?」 「さ……宰相様に、お話が……っ」  息を切らしたマリアの訴えはままならない。 「宰相様がお前のような者の話を聞かれるはずがないだろう? それに、その格好は何だ……! 恐ろしい。気でも触れたのか」  取り押さえろ。  侍従の一人が駆けつけた警吏に冷たく言い放つ。 「待ってください……。宰相様に、この名前をっ。彼の命が危ないのです。どうか、彼を助けて…——っ」 「気狂いの女だ。連れて行け」  警吏に両腕を掴まれたマリアは、最後の言葉を訴える。 「ジルベルト……! 誰か、この名を知る者はいませんか……?!」  途端、王宮内の空気がピンと張り詰める。 「今、何と言った」  侍従の中で一番の年長者だと思われる男が、マリアに近付いた。 「お前は何故その名を知っている?!」
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