理不尽な処遇

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理不尽な処遇

 ————————*  部屋の扉が勢いよく開いて、息を切らせたクロエが飛び入って来た。 「マリアっ……ここを出て行かされるって本当?!」  片手で抱えられるほどの小さなボストンバッグに、衣服を詰めていたマリアが顔を上げる。 「クロエったら。相変わらず情報が早いわね」 「早いのはあなたよ、やっと昼休みになったから飛んで来ちゃった。荷造りなんか始めて本当に出ていくつもりなの? そんな理不尽な処遇を黙って聞くなんて、マリアはお人好しすぎるのよ。私がメイド長様に抗議してやるっ!」  目から火を吹きながら扉に向かおうとするクロエを、慌てて両手で繋ぎとめた。 「怒ってくれてありがと。でももう何を言っても無駄なの。私がそうしたくなくても、メイド長様に訴えても。この国のお偉い様方が決められた事だから……どうしようもないの」 「でもなんで!? なんでマリアが追い出されなきゃいけないの? あの囚人はマリアのおかげで命拾いしたって言うのに!」
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