理不尽な処遇

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「やっぱりあんたはお人好しすぎるわ。マリア」 「でもね、本当に有り難いお話なの! メイド長様のはからいで、別の働き口を紹介してもらえる事になったから……っ」 「へ?! そうなの??」 「西の国境に近い小さな町なのだけど。そこにある酒場で住み込みで働けるのですって」 「良かった……。ここを出たあと、マリアがどうするのか心配だったの。西の国境なら休みの日に会いに行けるわ。でもマリアのことだから。また失敗ばかりして、その酒場まで追い出されないでよ……?」  笑顔のまま背中を向けたクロエは、目尻に涙を滲ませている。  マリアはクロエの肩が震えているのを察知して、彼女の華奢な背中にぐわっと抱きついた。 「ええ、きっとまた会えるわ。短い間だったけれど、あなたとルームメイトになれて楽しかったわ。今までありがとう……クロエ!」  ジルベルトの容体が心配だけれど……。  そこまでの要人にもしものことがあれば、ウェイン城内は今頃パニックになっているはずだ。そして、今のところその気配は見られない。
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