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 次の日に目覚めた朝はとても騒がしかった。 「お母さん!私の白うさぎがいないわ!」  朝ご飯を作っている最中、急に娘が溌剌と言った。 「どっかに転がってるんじゃないの?」 「いないの!どこにもいないの!」  私は呆れた。昨日買ったばかりのぬいぐるみにこんなにも執着するのか...と。朝ご飯を手短に作り上げた。 「朝ご飯作ったから、もう食べなさい。ぬいぐるみ探してあげるから」 「わかった...」  娘は暗い顔で返事をした。  溜息を吐きながら娘の大事なぬいぐるみを探しに寝室へ向かった。娘は寝相が悪いので、寝ている間にぬいぐるみを飛ばしたのかなと推測し、寝室内を歩く。しかし、あの白くてふわふわなぬいぐるみはどうも見つからない。このままだと時計の針が進んでいくばかりなので、仕方なく諦めることにした。 「ぬいぐるみ、無かった」 「白うさぎさん、迷子になっちゃったのかな...私、学校に行く間も探してみるわ!」 「学校に遅刻はしないでよ」 「うん!」  娘は一瞬でランドセルを持ち、家を出た。
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