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コール
錆びたフェンスに脚をかけた瞬間…胸ポケットで携帯が震えた。
「知らない番号…最期くらい、誰かと…」
プツッ
【はい、もしもし…】
【……】
【もしもし?】
【……】
【イタズラかな?間違えかな?それでもいいや。俺さ…今から死ぬんだよね。誰かわからないけど、誰かと話せて良かった…って一方的にごめんなさい】
プツ…ツーツー
「だよな…こんな電話ホラーだよな」
ブブブブ…
握った携帯がまた震える。さっきと同じ番号。
プツッ
【はい?もしもし?】
【死ぬとこ邪魔して悪りぃな…】
かけ直さなくて良かったのに
【いや…じゃなんでかけ直してきたのさ】
【…間違ってかけちまったんだけどさ、一言助言してやろーと思ってな】
【助言?】
【ああ、そこ…どっかのビルかなんかの屋上だろ?】
【はは、よくわかったね?】
【聞き覚えのある音だからな。そこから飛び降りたらどうなると思う?】
【確実に死ねるだろ?】
【お前だけじゃねーぞ?下歩いてる幸せな奴らも巻き込む】
【あ…そうだ…それはダメだな】
【あとは…電車に飛び込むのも迷惑だ。首吊りも片付ける奴が大変だからやめとけ…】
【じゃあどうすれば?】
【知るか。自分で考えろ】
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