傷跡

3/4
前へ
/55ページ
次へ
『ミノさん、コイツを死なせたらただじゃおかねーから』 【出血が酷い、AB型だ、誰かいないか】 【わしはABだ、使え】 『親父!でも…』 【なんだ?こんなおいぼれの血はイヤか?お前の為じゃない、神の為だ。ミノさん頼む】 『親父…すまねぇ…』 【そうだな、お前が全部悪い。大事なヤツのキズに気づかないなんて仕方のないヤツだ】 『面目ない…』 それから司は、ひとときも神から離れる事なく世話を続けた。 組の全員が、神の事を心配して花やら菓子やら毎日のように顔を出していた。 肩の傷もすっかり治った。 季節が変わろうとする今日もまた、司は神の手を握り囁き続ける。 『神…そろそろいいだろ?目ぇ覚せや』 『神…また組の者が菓子持って来たぞ?こんなにあっても食い切れねぇよな?』 『神…花が枯れるからってまた新しいの買って来やがったぞ?』 司の目から涙が溢れる。 『本当は、お前の目ぇ見て言いたいんだけどな…』 『神…愛してる…』
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加