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握った手がピクリと動いた。
『っ…誰か!誰かミノさんを呼んでくれ!』
【どうした!司!神か!】
『ああ、親父!今手が動いた!』
綺麗な瞳がやっと開かれる。
「あ…司…なんで…」
『神…わかるか?』
「司…何泣いてんだよ…」
【神!】
「親父さん…なんで?みんな…なんで泣いてんの?」
『クソ、お前が三ヶ月も目ぇ覚まさねぇからだろーが』
「?昨日、一緒に出かけたのに?何言ってんだ?」
『は?』
【司…今は、ダメだ】
『親父…まさか…』
【はいはいはい、みんな退いてね。神さん、具合は?】
「ミノさん、だいじょ…っつ…」
【起きなくていいよ、そのままで】
「なんか、頭痛い。三ヶ月寝てたって?」
【…あんたさんは、誘拐されて酷い目にあった。軽く記憶を失くしてるようじゃ。無理して思い出さんでもいい】
「そう?じゃ、別に良いや。ミノさんありがとう」
「司が助けてくれたんだろ?」
『いや、俺たちがお前に助けられたんだ』
「そうか、良かった。なんか身体ベタベタで、風呂入りたいんですが…」
周りの頭には、血まみれで死なせてと言った神の姿が蘇る。
【神…起きたばっかりだ。司に介助してもらいなさい】
『親父の命令なら仕方ねーな、神…行くぞ』
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