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「受かってる! 俺、弁護士になれるんだ!」
母に続いて未来の俺と、そして、それを画面越しに観ている現実の俺も歓声を上げた。
おそらくこれは数年後の、司法試験の合格発表の場面。つまり、俺は近い将来弁護士になれることが、今この瞬間確定したわけだ。
「おめでとう賢吾! あなたが必死に勉強する姿を一番近くで見てきたから、自分のことのように嬉しいわ」
「ありがとう。俺も嬉しいよ母さん。あの地獄のような日々は全て、今日この時のためにあったんだね……」
画面内では感動のやり取りが続いているが、もう観る意味もないのでテレビの電源を切った。そのままケータイでwebページを開き、もはや用無しのミライ・チャンネルを解約する。
丸3日テレビの音だけが流れていた部屋には今、たった50万円の借金で確実な未来の成功を手に入れた俺の高笑いが響き渡った。
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