ミライ・チャンネル

　ようやくシンガーを志した俺の映像が終わり、次の番組が始まる。と思いきや、何故か突然画面が真っ黒になり、音もしなくなってしまった。
　不具合だろうか。コンセントの接触を確認したりテレビの上部を叩いてみたりしても、直る気配はない。

　部屋が不気味な静寂に包まれる。ゴクリ、という自分の息を飲む音が壁にぶつかり、冷たい床に転がった。

　自力で直すのは諦め、ミライ・チャンネルのカスタマーセンターに問い合わせようかというところで、唐突に映像が戻った。
　画面右上には「画家・高峯賢吾の日常〜挫折編〜」の文字が躍っている。

　タイトルを見ただけで溜息が出るが、とりあえず不具合は直ったようでホッとする。
　そしてお目当ての未来を見つけるためにテレビの前に座り直した俺は、そのままさっきの謎の暗転のことは思考の端に追いやってしまった。