ミライ・チャンネル

9/14
前へ
/14ページ
次へ
 その後、丸3日テレビの前に張り付いていたが、弁護士になった自分はおろか、他の都合の良い未来もほとんど見つからなかった。  泥臭くて地味な仕事に就く姿を幾度も見せられ、億劫さばかりが募ってゆく。  俺には誰もが羨むようなキラキラした仕事に就く才能は無いのか。心折れかかっていたところでまた、次の番組が始まった。  結論から言えば、「血の滲むような努力の果てに……」と銘打たれたその番組こそ、俺が探し求めていた未来だった。  自宅でPC画面を見つめる俺。今より少し老けているように見えるが、それほど遠い未来ではなさそうだ。さらにその後ろに立つ母の姿。祈るかのように目を閉じ、両手を合わせている。  未来の俺がマウスを操作し何かを確認した直後、目を大きく見開いた。そして「受かってる」と呟いた瞬間、後ろの母が歓声を上げた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加