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6月。
[別れよ。好きになりきれなかった]
直接会うわけでも電話でもなく、突然のLINE。
予想していないわけではなかった。
東京でのデートは確かに会話が少なく盛り上がりに欠けたけれど、それは大輝が遠方から来てくれて疲れていたのかなとか、久しぶりに会ったから何話せば良いか分からなかったなとか、そんな反省をしていた。
まさか別れを切り出されるまで嫌いになっていたなんて思わない。
[いやだ]
通知をオンにしていたからすぐに返信をしたけれど、この通知は既読になることはなかった。
どうしても納得できなくて電話もかけたけれど、それも出てくれない。
私は1人部屋で号泣した。
それなりに失恋の経験はあるし、パパに切られた経験もある。
それでも段違いで大輝との別れは辛かったし、突然だった。
ここまで気が合う人はいなかった。
自分たちのクズなところも曝け出して受け入れ合った。
どれだけクズな私生活を送っていても、研究には手を抜かなかった。
難関大学の研究機関で研究に励み、大手企業への就職が決まっている者同士だった。
未来が見えていた、ような気がした。
私は沼っていたのだ。
大輝にとってはLINE1つで切れる女だっただけ。
別れの現実を受け入れるのは容易ではなく、別れてから2週間は、私は常に涙を流していた。
会社の会議中でさえも涙が溢れそうになり、慌てて[涙 止める方法]と検索して色々試したし、トイレで静かに涙を流したこともある。
駅から家までの帰り道も涙が止まらないため、寄ろうと思っていたドラッグストアに寄れなかった。
家では、ご飯を作っている時も食べている時も、常に泣いていた。
声を出して泣き喚いた。
自分がおかしくなってしまったのではないかと本気で思った。
失恋の辛さは、親しい人が亡くなる辛さと同等であるとどこかで聞いたことがあるけれど、まさにその通りだと思う。
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