遠距離恋愛、始まりと終わり

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朝起きると案の定目が腫れていた。 大輝に気づかれないように先に起きて、洗面所で瞼を冷やしたりアイプチを使ったりして対処する。 すっかり準備もメイクも終えて、最近購入したお気に入りのピアスを付けた。 朝11時になっても大輝はまだ起きない。 「大輝、そろそろ起きよ?今日は浅草行くんでしょ」 朝起きて抱き合えるんじゃないかという期待も少しだけ持っていた。 今までも、夜にシないときは朝に盛り上がったな。 起きた大輝を後ろから抱きしめる。 耳を甘噛みしてみたけれど、「準備してくるわ」と立ち上がり、スマートフォンを持ったまま洗面所に向かってしまった。 「後ろ姿見て思ったけどさ、大輝ちょっと痩せた?」 「そうか?最近結構飲み会あって、たくさん食べてるけどな」 「飲み会?研究室の?」 「そ。今年の新歓は居酒屋だったんだよ」 「そうなんだ!研究室、懐かしいな」 全国的に感染症対策に慣れてきたので、歓迎会が居酒屋で開催されるようになってきた。 私たちが研究室に配属された時はオンライン飲みだったり、4人以下を守って宅飲みをしたり、それも楽しかったな。 「準備完了。行くか」 「ちょっと待って」 出がけ前に大輝を抱きしめた。 今日も大輝はシンプルな飾り気のないピアスをしている。 私が新しいピアスを付けていても、それさえも気付かない。 髪をバッサリ切ってボブにしたのに、それについても何も言ってくれなかった。 「泣くなって」 「涙が止まんない...」 どうして一緒にいるのに、こんなにも寂しいんだろう。 大輝は形だけ抱きしめてくれたけど、全然力が入っていなくて、マスクをしているからキスもできなくて、どうしようもなく距離が遠い。 男の人は残酷なほど態度に出すから、私に気持ちがないことくらい気づくよ。
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