「男」を知りたかった

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私はすぐに採用され、面接の次の日から働くことになった。 これまでは時給1000円の居酒屋で働いていたから、初めてスナックに出勤して3時間働いただけなのに、現金で1万円を超える金額を貰ってしまった。 驚きだった。 帰りは歩いてアパートまで帰ったのだが、1万円以上が財布に入っていると思うだけで、たったの3時間で稼げてしまったと思うだけで、心臓がバクバクだった。 初出勤日だということもあって、ママは私を常連さんの席ばかり付けてくれたし、「この子、初出勤なのよ。しかもそこの大学1年生、19歳!」と私のことを紹介していただけるおかげで、お客様とのお話も盛り上がったのだ。 「え、そこの大学?超賢いところじゃん。なんでこんなところで働いてんの?」 「ちょっと〜、こんなところって失礼ねえ」 常連さんとママとの絡みも面白かった。 私はとりあえず笑顔を絶やさないようにしながら、リアクションを大げさに取るなどしてとにかくがむしゃらに接客していたと思う。 良いお店だったから、「未成年のうちはこのお店では絶対にお酒を飲んじゃダメよ」とママに言われていたから、お客さんから頂くドリンクはいつもウーロン茶だった。 水商売でありがちな女の子同士のイザコザも全くなくて拍子抜けしたくらいだ。
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