9人が本棚に入れています
本棚に追加
「先天性心疾患」
それが私の病名だった。生まれつき心臓が悪く、軽い運動でも発作で倒れることも少なくなかった。
「移植をすればもっと長く生きられるが、しなければ長くても20歳まで生きられればいいでしょう。」
両親も医者も移植を勧めた。しかし誰かの命、心臓を奪ってまで生きたいと思えなかった。
そんな私にも愛する人ができた。明るくて真っ直ぐで一途な男の子。
彼には幸せになってもらいたかった。こんな欠陥品の私ではなく、普通の女の子と。
だから、諦めてくれるように何年も辛い思いをしながら断り、自分で諦めてくれるように条件までつけた。
だけど彼はそれを軽く超えてきてしまう。
だから、彼氏を作れば諦めてくれると思った。
最初のコメントを投稿しよう!