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「社長の席はありませんよ」
「金魚のフンだったヤツが偉そうにするな!」
ぼそりと告げる課長に、たちまち社長の首は真っ赤になって怒鳴りつけた。
課長は血相を変え、そそくさと自分の席へと帰っていった。
怒り狂う社長の首を落ち着かせ、つづいて取引先の美人社員の首に向き直る。
首だけでも充分に美しい彼女はメソメソと泣き、仕事をしくじったら首が落ちたと説明した。
「バカもん! そういうときは、お客さま首が落ちましたよ、と伝えるんだ。悲鳴をあげるなんて失礼にもほどがある」
横から社長が首を突っこんできた。
私も同意見だったが、あまりキツく指摘できたもんじゃない。
突然お客さまの首が落ちたら、だれだって悲鳴をあげる。
「社長は黙って」
私は社長の薄くなった頭皮を叩いた。いい音が鳴る。
「うっ、うっ。こんなんじゃ首がまわらないわ」
「首が飛びましたからねえ」
なんの慰めにもならない言葉を伝え、私は仕事をはじめる。首尾よくいかないことばかりだが、どうにか終わらせる。
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